ブリヂストン・グランテック

86年 GRANDTECH(輸出用)           08年度 Transit Sports G26

 グランテックは登場して20年以上経ちますが、24や700C、クロスなどのバリエーションが出たものの、基本的な構造は変えないまま現在に至っています。名前もグランテックからトラベゾーン銘柄との並販を経て、現在では26インチのトランジットスポーツG26(TSG268)になっています。ここではグランテックの変遷について書いて見ます。(発売期間が長いだけに使用パーツなどは多岐にわたっていますので、ここでは各種変更部分を判る範囲で載せています。)

 

製品名

GRANDTECH 700C(GR-27)             GRANDTECH 24(GR-24)
 発売開始年は知らないのですが、86年にはグランテック(GRANDTECH)としてアメリカでも売られていました。24インチ(GR-24)と700C(GR-27)の2タイプが出ていましたが90年頃のBMX台頭にあわせてBMXライクなクロス(GRC-26)が追加されています。92年にはユーラシアの後継ブランドであるトラベゾーン(TRAVZONE)の名前でも並行販売され(TG-24,TG-27)、泥除け標準装備のトラベゾーングランテックSE(TGS-27)なども出ています。その後90年代末期にはトラベゾーンでの販売は無くなったようですがグランテック銘柄では販売されていて、700Cと24インチ、クロスの3シリーズは健在でした。2000年を越えた頃より小径車が人気となり、トランジットシリーズの一員としてトランジットスポーツ(TRANSIT SPORTS)になりましたが、この時よりシリーズ一掃され、クロスを進化させたトランジットスポーツG26(TSG268)のみの販売になったようです。

 

GRANDTECH クロス(GRC-26)         TRAVZONE GRANDTECH SE(TGS-27)

部品構成

 部品構成は、初期型(ラグレス)、コストダウンの後期型(ラグ付き)、クロスとその流れを汲むトランジットスポーツの3つに大きく分けられます。未確認ですが、クロス(GRC-26)と現行のトランジットスポーツ(TSG26)とでは、フレームに若干の違いがあるそうです。

 

フレーム

初期型:ラグレスヘッドと、シートステー、シートチューブのメッキ仕上げが特徴です(GR-27H)。

 

後期型:ラグ付きになり、シートステー、シートチューブも同色に塗られています(GR-27)。

 

クロス:26*1.4 HEのタイヤを履くクロス仕様ですが、後期型に比べるとフロントフォークが変わった程度です(GRC-26)。

 

ちなみに、グランテック24(GR-24)はフレームの形は似ていますが、各パーツとも700Cと互換性は全くありません。

 

各部詳細

メインフレーム

左から順に、クロス、GR-27(後期)、GR-27H(初期)です。
後期型のヘッド部がラグになっている以外、3つとも同じ作りです。アウターキャップなどの直付け小物もすべて同じですので、相互に交換使用が可能です。

シートチューブとチェーンステーも基本設計はすべて同じです。ただし、初期型と後期型では締結部の方式が違うため互換性はありません。また、S-1車はチェーンステーに専用ブラケットと、シフト用のアウターキャップの位置が違っています。

 

シートステーも前期、後期、クロスとも端末の処理が違っている程度で交互に交換可能の様に見えますが、前期と後期ではシートチューブとの接合幅に若干違いがあり、互換性はありません。また、クロスも同じ仕様としたためリムとのクリヤランスが大きくなり、ロングアーチのサイドプルを使用する原因ともなっています。

 

フォークも3タイプとも同じ寸法ですので、ヘッドパーツを交換することなく、共用が可能です。ただし、クロスはユニクラウンとなってブレーキの貫通穴が下がっています。これにより、フロントはノーマルアーチのサイドプルが使用できるようになりました。

 

 初期型はラグレス(左)ですが、後期型はヘッドチューブ部(中)とシートチューブの端(右)がラグ付きになりました。シートチューブ端はラグと言うよりもシートピン保持部を溶接から被せへ簡略化したようなものです。

 

BB部は特殊構造で、中央部にシートパイプが食い込む形の一体化ラグです。
カップ&コーンのBBでは問題ないのですが、太い筒が付いているシールドBBは出っ張りに当たるため使用できません。

 後期型は解結ボルトの基部が変更されてBB下に出るようになりました。ただし1992のカタログではシートステーは後期型ですが、解結方法は前期型のグランテックやトラベゾーンが載っており、混在時期があるようです(左)。シートステーエンドは溶接から圧着へと簡略化されています(上:初期型、下:後期型)。

 

 材質としては初期型は4130クロモリ鋼ですが、後期型は何の材質か確認取れていません。フォークはハイテンション鋼で、24、700Cはノーマル、クロスとその後継のトランジットスポーツはユニクラウンです。重さは700Cが12.5Kg、24インチが12.0Kg、クロスは13.0Kg、トランジットは12.5Kgです。
 値段は92年\74,800(GR-24,27)、99年\80,000(GR-24,27、GRC-26)、08年\79,800(TSG268)と価格変動少なくて物価の優等生のようですが、その代わり各部かなりのコストダウンを受けているようです。

車体番号からの製造年月日検索

 ヘッドチューブ上方に英数字とそれに続く6桁の車体番号が記載されています。グランテックの場合、最初の英数字が製造月、1番目の数字が製造年の西暦1の位を示しています。以後の数字はメーカー管理番号ですので、西暦10の位は車体の特徴で推察するようです。製造月のアルファベットは1月〜12月がA〜Lに対応するのですが、9月は「I」になり1と区別するためか「X」を使用しているようです。左は1987年9月製造なのでしょう(一部例外有り)。

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