ブリヂストン・グランテック

チェンリング・クランク

 純正ではクランク一体型のシングルギヤ SUGINO No-3・48T(左)が付いています。クランクは軽合のようですが、ギヤは鉄製でカシメで付いていてギヤの交換は出来ません。SUGINOのHPを見てもこの手の製品は載っておらず、すでに製造中止されているようです。また、バリエーションもあるようで、裏にもチェーンガードのある46T(中)や、SAKAEの46T(右)などの製品もあります。歯はすべて1/2×3/32(薄歯)です。

 クロスにはSUGINOの46Tが付いていますが、152mmとクランク長が短いです。ロードクリアランスを稼ぐためでしょうが、152mmって中途半端な長さはどうなのでしょう?

代替部品

サカエ CUSTOM-A(48T)
 懇意にしている自転車屋に探してもらって手に入れました。No-3と同じくクランク一体型のカシメ式シングルギヤで、重量も結構あります。代用には十分ですがサカエも既に会社がなく、めぐり合う可能性は低いです。

サカエ SUPER CUSTOM(42T)
 市販で良いのが無いのですがアウターの歯を削れば出来そうなので、実際に作ってみました。SUGINOのチェーンガードよりは強そうですが、純正ほどの強度はなさそうです。結局、曲がっても補給が効きますので、今の所一番有効な代替方法です。改造記はリンク参照。ただし、チェンラインの問題もあり、クランクによってはBBとセットで交換する必要がありそうです。

SUGINO G5A2T-50(P.C.D.110mm)
 チェーンガードのみならSUGINOから販売されていました(2011廃番)。これをアウターにつければ代用できそうですが、実際に製品を見てみるとペラペラで肉厚が薄く、ズボンのすそ避け程度しか役に立ちません。グランテックでは地面と接触する可能性がありますのでお勧めいたしませんが、グランテッククロスはこれを表裏で2枚付けていて、結構強度を持たせていました。

チェーンライン

 クランクを変更するとチェーンラインの値が問題になってきます。チェーンラインとはフロントギヤの歯の中央と、リヤスプロケットの中心を結ぶ線のことで、このラインがフレームセンターと平行なのが理想です。

 

 グランテックはチェーンガードの付いたシングルギヤですので、パイプ径が32mm(A)、歯の中心からパイプ端まで29mm(B)でした。
これよりチェーンライン(C.L)は45mmと算出されます。
旧車では43.5〜45.0mmが標準でしたので、グランテックもそれに準拠しているようです(最近の標準は47.5〜50.0mmと少し広くなっています)。

 GR-27におけるチェーンラインの例です。BBはそのままでチェンリングのみをサカエ SUPER CUSTOMに交換したため、チェンラインが3mm外側へ移動しています。そのため、Top側(上)ではチェーンのたわみが少なく、Low側(下)で撓みが強くなっています。実際の走行では、最Lowで走行中にTop側へチェーンの落ち込みが起こりました。GR-24では27に比べてリヤ・センター寸法が短くなりますので、チェンリングの変更にはさらに検討が必要になってきます。詳しくはリンク参照

 

 クランクには個々の製品に対応したBBが設定されており、セットで使用すれば標準のチェンラインが得られるように出来ています。ダブルギヤのチェンラインはインナーとアウターの中間に設定されていますが、上記のようにアウターをチェーンガード化するとチェンラインはインナーの歯の位置になり、歯間の半分だけチェンラインが短くなってしまいます。歯間は通常8mm程度ですのでチェンラインは4mm程度短くなり、Top使用時でチェーンに多くのストレスが掛かかってしまいます(2×5速のランドナーで、インナーTopを常用するようなもの)。ただ、トリプルギヤではセンター(ダブルでのインナーの位置)にチェンラインが設定されていますので、同製品でトリプル用のBBシャフトがあればチェンラインの問題は一応解決しそうです。
 それ以外の方法としては、現在のBBシャフトの右突き出し長を計って必要な突き出し長を求め、こちらの表から適合しそうなBBシャフトを探し出すしかなさそうです。

 

ボトムブラケット(BB)

BBシャフト

 SUGINOのマキシーシリーズが使われていますが、シャフトにはBSの文字があります。SUGINO No-3には 3U(127.5mm・左)が使われていますが、SAKAEはチェンリングの形状から 3R(129.0mm)と言う長いものが使われています。逆にクロスには3S(124.5mm・中)と言う短めのBBが使われていました(右、上より3R,3U,3S)。BB長の種類はリンク参照

BBワン

 すべてSUGINOのスタンダードワンが使用されています。ロックリングはギザ付きの普及品(右)で高級感が無く、せめてギザ無しにして欲しかったです。

 

 BBはヘッドパーツと同じく耐久性のある部品ですが、整備がしっかりしていないと虫食いを起こします。虫食いを起こしたBBシャフトやワンは交換になるのですが、グランテックは独特のBB構造のため(ダウンチューブがBB内に出っ張っており)、胴の太いシールドタイプBBは出っ張りに当たって使用できません。

 

 使用可能なBBは昔ながらのCup&Coneタイプですが、現在ではSUGINOからトラック用の物が出ている程度で代替がありません。ただし、虫食いはBBシャフトに起こることが多く、ワンは新型シマノやスギノで共通ですのでBBシャフトさえ手に入れば組換え可能です。

 

 グランテックのチェンリングはSUGINO製ですので、BBシャフトはJISテーパーのマキシィ系になります。現在市販はされていませんが、オークションなどではまだ見かけますし、一部のシマノシャフトでも代用できます。BBシャフトの記事はリンク参照

ボスフリー

 フリーは初期から90年中ごろまではボスフリー、以降から現在まではシマノのカセットフリーが使用されています。ボスフリーは6段の時代はサンツアーのPerfectが、7段時代の初期はサンツアーのAP、その後はシマノに変わっています。Perfectの分解清掃はリンク参照

 

 ボスフリーの歯も消耗品で交換が必要になりますが、サンツアーは90年代に倒産していますので補修パーツも含めて新品を入手するのは困難です。ただ、現在はカセットフリー全盛時代ですのでボスフリーはほとんど生産されていないものの、国内で流通しているハブとボスフリーの勘合はBSC規格でほぼ統一されていますので、入手さえ出きればどのボスフリーでも使用可能です。ただし、グランテックのO.L.D.は126mmですので、厚さのある8段と7段の一部のボスフリーは入らないと思いますので6段を選択するのが無難でしょう。

 

 ボスフリーの現行製品でお勧めはシマノのMF-TZ20でしょう。14T-28Tの6段仕様で厚さも32mm程度とオリジナルのPerfectとほぼ同じで、ポン付けで入りそうです。ただし、6段や7段のIndexでご使用の方は歯間の問題でIndexがうまくシンクロしないかも知れません、と言うよりシンクロしないと思います。あと台湾のSUN RACE製ですが、DiacompeからENE CICLOの銘柄で出ています。5,6,7段とそろっていますが7段は厚さが多少あるようなので、使用するなら6段ですが、14T-24TでLow側が今ひとつですね。本家SUN RACEからもMTB用として色々なグレードが出ていて、6段で14T-28TならMF M22、M2A、M05あたりでしょうが、日本で入手可能かどうかは製品によって微妙ですね。

 ここまでは初期から90年代前半の話ですが、1995年以降フリーのメーカーがシマノに変更され、最近では8段のカセットフリーになっていますので、カセットフリーを使用している最近の機種では替え歯も入手しやすく問題は無いと思います。

 

チェーン

 初期型の6段仕様の頃は1/2×3/32(薄歯)レギュラーサイズのチェーンが使用されていました。メーカーはIZUMIやD.I.Dの製品でマスプロ車らしく普及グレードの製品が付いています。90年に入ってS-1使用による7段INDEXとなってD.I.Dのナローチェーンに変わり、以後現在の8速化に至るまで1/2×3/32のナローチェーンが使用されています。

 

 レギュラーチェーンとナローチェーンの違いはピン幅が1mm程度ナローの方が薄くなっているだけで、ローラーの厚さは同じです。これより、ナローチェーンをレギュラーチェーンの代わりに使用できますが、ナローではボスフリーの歯間が狭くなっていますので、ナローチェーンの代わりにレギュラーチェーンは使用できません。詳しくはリンク参照

 

 ロード、MTBのほとんどが1/2×3/32サイズのチェーンを使用していますが、全幅はレギュラー、ナロー、スーパーナロー、スーパーナロー10速の順で狭くなっていきます。フリーの段数で言うと5・6段がレギュラー、6・7・8段がナロー、9段がスーパーナロー、10段がスーパーナロー10速になります。

 

 グランテックの6段は全てレギュラー、7・8段はナローで両者とも現在でも販売されています。6/7段、7/8段、6/7/8段対応と書かれているのがナローチェーンですので好きなメーカーの好きなグレードを使用できますが、レギュラーチェーンはIZUMIの普及グレードくらいしか見当たりませんので、上級のナローチェーンで代用したほうがよさそうです。なお、9速、10速と明記してある物は8段までのグランテックには使用できません。また、シマノのIGチェーンはIG歯推奨だそうですので、使用しないほうが無難のようです。

 

 シマノの現行製品ではCN-HG91を筆頭にHG70、HG50、HG40がナローチェーンとして売られています。ただ、2014年秋に製品整理が行われたようで、HG91は無くなって最上級はHG71になったようです。

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