ブリヂストン・グランテック

ハブ

 初期型はSANSINの軽合スモールF:100mm、R:126mm(左)ですが、コストダウンの後期型ではNKNのプレス(右)やセミラージ(中)などが採用されています。ナットも初期型はメッキの袋ナットでしたが、後期は通常のユニクロームナットです。SUNTOUR亡き後はSHIMANOのEXAGEシリーズでフロントHB-RM50-FNT、リヤFH-HG50-7NT(カセット7段)になりました。現行のトランジットはシマノ製8段カセットです。

分解整備

 フロントハブはオーバーロックナット寸法(O.L.D)100mmのナット式ハブが使われています。O.L.Dは現行製品も100mmと同じでエンドの幅も5mmありますから、現行のクイック式ハブが使用できます。

 リヤハブはO.L.D126mmのボスフリーがオリジナルですので今では絶版ですが、リヤO.L.Dの実測は130mm前後あるので、現行の130mmカセットフリーが代替として使用できるようです。また、エンド幅もシャフトの当たる部分だけ2.5mm厚くなって7.5mmとなっていますので、クイックシャフトも使用できます。ただしクイック化した場合、純正のディレーラガードが使用可能かどうかは、構造上微妙です。

 

ハブシャフト(フロント)

 グランテックのハブは初期はSANSINの軽合製(左)、後期はコストダウンしたNKNの鉄製(中)、最近はシマノ製のようです。ハブシャフトはBC5/16(通称8mm)の無垢棒で、ママチャリと同じです。長さは初期が136mm後期は140mmですが、ナット止めですので多少長くても使用できます。ただ、8mmシャフトは低グレードの一般鋼製がほとんどで、長期使用でゆがみが出たりします。強度と耐久性を考慮してクロモリ製の9mm中空シャフトやピスト用無垢棒に交換できますが、ナットや玉押しなども9mm用の物を新調しなくてはなりません。 

ハブシャフト(リヤ)

 フロントと同じく初期はSANSINの軽合製(左)、後期はコストダウンしたNKNの鉄製(中)、最近はシマノ製のようです。ハブシャフトはBC3/8(9.5mm)の無垢棒(171mm)ですので、M10(10mm)の中空クロモリシャフトや無垢棒(右)への交換はフロントと同じく玉押しやロックナットも新調となります。ハブシャフトの規格はリンク参照

 

ハブシャフトのゆがみ

 リヤはフロントよりシャフトが長いためゆがみが出やすいようです。ゆがみはシャフトを転がせば判ると思いますが、左のように玉押しのラインに太さの変化があればシャフトがゆがんでいると思ってよいでしょう。この場合、玉押しとシャフトをセットで交換が基本です。

玉押し(フロント)

 ハブの玉押しは虫食いが発生すると交換しかありませんが、製品によっても形や大きさが違いますので流用の難しい部品です。部品が無ければハブごと交換になりますが、スポークの着脱による張替えは大変な作業です。そこで、流用は出来ないものかと調べてみました。

 初期のフロント玉押しを見てみます。左がグランテック純正、右がサンシン ジャイロマスター用の玉押しです。外径は15.7mm、高さは10.6mmと同寸ですが、玉当たりのカーブが違うようです。玉の当たる部分の直径を測ると12.0mmですので、カーブの深いジャイロマスター用は少し深く入りそうです。なお、シャフト径はグランテック純正がBC5/32(8mm)なのに対してジャイロマスターはM9(9mm)ですので、シャフトも交換となります。

 3年使用したジャイロマスターです。ラインはGR-24G純正に比べると1mm程度深いところに綺麗に出ており、代替品として申し分ないようです。

 後期型のNKN製ですが、外径は15.7mmと同じものの、ダストキャップ兼用となっており流用できません(左)。また、GRC-26(クロス)のものはダストキャップも兼ねたボルト型で、さらに特殊なものとなっています(右)。
 ただ、これらは鉄製の安価なハブですので、故障を機会に交換したほうが良いと思います。

 左がGR24-E(85年製)、右がGR24-G(87年製)の純正フロントハブコーンです。ハブは同じSANSIN製で外観も同一ですが、コーンの湾曲や玉当たりの位置が微妙に違います。

 これらのハブにジャイロマスターのコーンを入れると、GR24-Eでは同じ位置に入りますが(左)、GR-24Gでは1mm深く入ります(右)。外観が同じように見えても年代によって微妙に変化しているようで、結局何ミリのスペーサーが必要なのかは現物あわせになりそうです。ところで、なぜジャイロマスター用の玉押しに目をつけたかと言うと、同じSANSIN製で形も似ていて、ネットオークションで\30/個の投売りをしていたからです(2011/03)。将来に備えて何個か確保しておきました(笑)。
 追記:安価なジャイロマスターの玉押しも、出品者が2015/01以降出品されなくなって、いまや入手不可能なようです(2015/02)。

 

玉押し(リヤ)

 フロントと同じく初期型の玉押しを見てみます。左がグランテック純正、右がSANSINノーマルの玉押しです。玉当たりのカーブも同じようですが、組み込んでみるとフロントと同じく1mmずつ深く入っています。よって、左右に1mmのワッシャを噛ませる必要があり、内径もフロントと同じく0.5mm違うので、流用できるのはスペーサーくらいです。

 矯正研磨したSansin Professional用の玉押しが手に入りました。値段は\300/個と10倍するだけあって、綺麗に研磨されています。カーブは同じようですが、ジャイロマスターと違ってグランテック純正と同じ位置に入っています。

 3年使用したProfessionalです。ラインはグランテック純正とほぼ同じ位置に付いていますが、材質の違いかラインが細いですね。

 ノーマルだけ1mm深く入っています。ノーマル、プロフェッショナル玉押しのシャフト径は10mmですので、ナットも10mm用が必要です。

 

ハブの組替え

フロント

トラック用シャフトへ交換

 サンツアー シュパーブのトラック用9mmクロモリシャフト(141mm)に換装しました。軸がM9(9mm)になりますのでロックナットなども新調しましたが、スペーサーだけはグランテックも9mmを使用していますので流用できました。GR24-Eのハブに入れましたので、3mmスペーサーと4mm幅ナットで合計100mmとなっています。止めナットはトラック用の9mm使用しましたので、軸が多少はみ出しています。

 

中空シャフトでクイック化

 M9(9mm)クロモリ中空シャフト(109mm)を使ってクイック化しました。GR24-Gのハブに7mm幅のナットとスペーサーを入れたので、左右に1mmのワッシャを足しています。クイックレバーはSAISINレギュラーの100mm用ですので、ぴったり入りました。強度、回転ともに上々です。

 

リヤ

クロモリシャフトへ交換

 O.L.D.126mmのリヤシャフトは171mmの一般鋼で、用意したクロモリシャフト(無垢)はSUNTOURの130mm用(175mm)ですので4mmほど長くなっていますが、少し出る程度で問題ありません。ノーマル時のスペーサー・ネジの寸法を載せておきます。ボスフリー側はディレーラガードのため反対側より5mm長くなっています。

 

 玉押しにPerofessional、ロックナットをデュラエースにしましたのでナットの厚さが増し、スペーサーを18mmから15mmに短縮しています(右)。玉押し、シャフト交換と同時にボールも新調しましたので、回転が滑らかになって剛性もUpしました。

 

 GR24-GのO.L.Dは実測で129mmあってワッシャで厚さ補正していますが、センターがどちらにずれているかは個々で違いますのでワッシャ位置は現物あわせとなります。今回は左に1mmワッシャ追加でセンターが出ました(左)。センターの見方は色々ありますが、私はブレーキのボルトがシートチューブの真中になるように見たときに、シートチューブの端とリムの端が均等に合う所で見ています(右)。

 クイック化は上記と同じで126mm用の中空シャフトを買ってきて組替えます。リヤのエンド幅は7.5mmありますのでクイック化しても問題ありませんが、純正のディレーラガードは締結力の問題から付けないほうが無難と思います。

 2013年暮れの時点で上記玉押しも売り切れたようですが、こちらの記事にあるように、レギュラーグレードの在庫ハブから転用できそうです。ただ、ここまでしてオリジナルを保つのか、将来のことを考えて最新ハブをセットで導入するかは各人の価値観の問題でしょう。

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