ブリヂストン・グランテック

変速機

 初期の純正変速機はSUNTOUR製で、サムシフターはフリクションから6速レギュラーINDEX、7速ウルトラINDEXを経て、94年ごろからシマノ製へと変わりました。リヤディレーラもSUNTOURのAR、α-3000、α-3040を経てS-1になった後、シマノ製へと変更されています。

シフター

 左よりPower Thumb Shifter(LD-2800)、Power Thumb Shifter XC Sports 7000、そして形式不明のPower Shifterです。左はGR-24E、真中はGR-24G、右はGR-27についており、左になるほど古い製品です。

 

 INDEXの登場で、まず6速レギュラーINDEXのα-2000(左)が採用され、93年にはS-1 System(右)やExpressになりました。
 SUNTOURが無くなってからは、シマノに変更されています。

Power Thumb Shifter(LD-2800)

 分解図です。ラチェット機構を挟むようにしてスペーサーとスラスト座金がある構造は、ダウンチューブのシフターと同じです。違いはC型止め輪があることと、上部座金に6本の短い足が出ていることでしょうか。

 

 シフトレバーを基部に乗せ、スプリングと爪をセットします(左)。座金、ワッシャの順に乗せます(中)。ラチェットリングを入れて、ワッシャを乗せます(右)。

 

 座金を乗せた後、C型止め輪で止めます(左)。上部座金を乗せます(中)。カバーを付ければ完成です(右)。

 

Power Thumb Shifter XC Sports 7000

1.工具は止め輪つかみがあれば良いのですが極細マイナスドライバでも代用できます
2.調節ネジを外すと台座と本体が分離します。
3.台座は引上げネジでハンドルに取り付ける方式で、本体固定ネジと共用しています
4.台座には3箇所穴があいており、好みによって3段階に位置をずらせます

 

 カバーを外してC型止め輪を外すと本体が分解できます。構造はダウンチューブ用のパワーシフターとほぼ同じで、ギヤを挟んでスペーサーとプレートが配置されていますが、一番外側のスペーサーが1枚追加されています。これはC型止め輪の干渉を嫌っての物と思います。
 各部を綺麗に拭いてオイルを薄く塗れば良いのですが、重いのが好みならグリスを塗っても良いでしょう。ただし、あまり多量につけるとゴミと一緒に固着しますので注意してください。

 

後変速機

 ar、α3000(シングルテンション)、その後のα3040(ダブルテンション)共にフリクションで使用されてました。93年にはロープロファイルS-1(インデックス7速)がSUNTOURの最後と思われます。
 その後はシマノ EXAGE 300EX RD-A300になり、現在はACERA RD-M330-8(8速インデックス)になっています。

α-3000(下)α-3040(上)   ロープロファイルRD・S-1

α-3000の分解掃除

 まずは全部分解して磨きます。

 

1.スプリングを通したアウター受けを入れます。
2.ブラケット調節ネジを入れますが、ねじ込みはボルトの頭が出ない程度で仮止めします。
3.Hi,Loボルトを入れますが、緑の割の短いネジがL(Low)、赤の割の長いネジがH(High)です。
 ネジは緩み止め用に割が入れられ、割の中に赤や緑の樹脂状の物が入っています。
4.ワイヤー止めを入れますが、ワッシャが一枚挟まっています。

 

1.ガイドプレートとピボットボルトの間は3枚のワッシャが入ります。
2.ピボットボルトを入れる前にオイルを塗っておきます。
3.ワッシャはプレート側から、黒のシム、大穴のワッシャ、小穴のワッシャの順です。
4.8mmレンチで締めますが、緩まないようにきつく締めこみます。ネジロックなどの緩み止めを
 使うとなお良いでしょう。

 

1.テンションスプリング用の穴が3つあいていますが、通常は真中に入れます
2.テンションスプリングを入れます。
3.ガイドプレートの矢印を写真のあたりに持ってゆき、サイドプレートをかぶせてスプリング
 突起に当たるように入れます。
4.スプリング突起の部分にあわせてカバーをかぶせ、ネジを止めます。反時計回りに2/3周ほど
 回してからストップピンをねじ込みます。バネの戻りが強いのでしんどい部分です。

1.プーリーの芯にオイルを塗っておきます。
2.芯を入れてカバーをかぶせます。右の小さい方がガイドプーリー(ギヤ側)、左の大きい方が
 テンションプーリー(遠位側)です。
3.ボルトも短くて頭の薄いほうがガイド用で、長い方がテンション用です。
4.裏プレートと締めこんで完成です。微調整は組み上げてから行います。

SUNTOUR α-3000
 シングルテンションの中級クラスで、調節可能なアウター受けが付いていますので、ACCUSHIFTにも対応しているそうです。
 ピボットの付く位置、本体と一体形成の調節ネジ部、ガイドプーリーとテンションプーリーの異径、裏ガイドプレートが金属製など、後継機のα-3040とは構造がかなり異なります。
 80年前半までのVシリーズとも違うし、後半のα-5000や3040以降とも違う独特の形式をもったディレーラです。

エンド

 SUNTOUR時代のエンドはSUNTOURブラケット(左)ですのでリヤディレーラはシマノやカンパなども装着可能です。フリクションで使用するなら、リヤディレーラはかなりの現行品が使用可能と思います。ただし、S-1仕様はブラケットは同じでもリヤディレーラの位置が違いますので、他のディレーラをつける場合はアウター用キャップ受けの増設など多少の加工が必要になります。

 

ディレーラー直付けゲージ

 Rメカ台座修正ツール、エンド修正器などとも呼ばれており、ディレーラーの台座の検査と修正を行うツールです。通常はクラッシュでもしない限り必要なさそうですが、中古フレームを購入したり、変速の調子が悪い時は検査・修正したほうが良いかもしれません。購入すると1万弱するので、回数使わないならプロショップに頼むほうが安上がりと思います。HOZANやParkToolなどから出ています。

 ディレーラーエンドに取付けて検査・修正するので、まずはディレーラーを外します。チェーンは外さず写真左のようにRDを避けておくだけでよいでしょう。工具をしっかりエンドにねじ込みます。

 

 互いに直行する3箇所程度で測定し、すべてが同じ値になるように修正します。何mmくらいまでの誤差を許容するかは個人の好みでしょうが、大きく狂っていてもさほど不具合出ないようなので、数ミリくらいはOKとしました。修正はゲージを上げ下げして行うのですが、思っていた以上にエンドはやわらかく、数ミリ程度の修正なら「チョンチョン」と押してやる程度で修正できます。いくら鉄とはいえ頻回の修正を行うと金属疲労が出そうですので、修正時は深追いしないほうが良いでしょう。

 

変速系変更

 SUNTOUR時代のボスフリーは、6速ではPerfectのレギュラーサイズ、7速ではAPのウルトラサイズが標準でした。サムシフターは、7速ではS-1のINDEXでしたが、6速ではフリクション(左)とINDEX(中)の仕様が両在していました。そのため6速の場合はサムシフターさえ換えればフリクションからINDEXへ改造することが出来ます。SUNTOURのINDEXであるACCUSHIFTシリーズの6速(右)はすべてレギュラー用なので(6速ウルトラ用のINDEXはない)、製品さえ手に入れば簡単に取付できますが、製品自体は最近のオークションでもあまり見当たらないのが実情です。

 

 国産現行製品でのINDEX化はシマノしかありませんが、シマノでINDEX化するにはシフターディレーラフリーハブ付きホイールの3点が必要になります。また、グランテックのオーバーロックナット寸法(OLD)は126mm(左)に対して、シマノフリーハブのOLDは130mm(中)になりますので、この差4mmは無理矢理広げることになります。ただし、グランテックのOLD実測値は多少広いようで、GR-27(右上)は127-129mm、クロス(S-1・右下)に至っては131mmありました。この方式で多段変速実現している方をNetで散聞しますので、実際には問題なく動くようです。

 

 私は純正のリム・ハブを使用するため、SUNTOURの7速INDEXを使用しています。ACCUSHIFTの7速INDEXサムシフター(左)に7速ウルトラAPボスフリー(中)、ACCUSHIFT対応のRD(右)をセットで組めば快適に動いています。唯一の問題点は、もう会社自体が無いのでデッドストックか中古を探さないといけない事でしょう(大きな問題点ですが・・・)。

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