踏切道改良促進法に基づく法指定箇所一覧

 平成28年4月12日に発表された「踏切道改良促進法に基づく法指定箇所一覧」は全国58箇所の危険踏切を指定して、早急に対策を講じるように促すものでした。
 今回の指定には「該当する指定基準」に則って指定されたそうで、根拠は「踏切道改良促進法施行規則」第2条に則っています。第2条の中でも1・2・3・4・8・9・10号が適用されており、交通量の多い所は1〜4号が、それ以外では通学路の8号、高齢者・障害者の9号、その他の10号が使われています。
 所在場所は北海道と東北が各1箇所、北陸、中国四国は無くて九州は6箇所で、関東の大半は京王電鉄京王線の連続した区間で占められています。東海から関西にかけては、ぽつぽつと指定されていますが、中には「なぜここが?」と言う様な物もありますので、訪問済みの所に解説をつけてみました。

 

名松線 第4小山 第2条第10号

 松阪市の郊外、一志町のとある踏切です。県道67号一志嬉野線との交差ですが、指定されるほど危険なのか判断しにくいところです。踏切幅は普通で、近くに学校はあるものの付近にも似た踏切は数箇所あります。事故が多いなど、色々事情があるのでしょうね。

近鉄名古屋線 長島第2号 第2条4号、8号

 近鉄名古屋本線・近鉄長島駅のすぐ東にあり、結構大きな踏切です。踏切南方に小中学校がありますので8号指定のようですが、すぐ北にある関西本線・間々踏切は指定されておらず(多少幅が広い)、ちぐはぐな感じを受けます。

高山線 関街道 第2条第8号

 中川辺駅南にある、国道418号との交差。国道とはいえ田舎の400番台なのでさほど通行も無さそうです。それでも指摘されたためか、現在拡幅改良工事中。すぐ東に川辺西小があり、8号指定でしょう。

梅田連絡線 西梅田一番 第2条第10号

 もとの梅田貨物線で、踏切の北に広がっていた貨物ヤードはすっかり取り壊されて再開発されてしまいました。現在では関空や紀勢本線の特急が新大阪からの短絡線として使用しているだけです。確かに交通量は多いのですが、踏切は広くて充実しており、本数も少ないので緊急性を要する今回の指定は解せません。すぐ隣の浄正橋踏切は指定されておらず、この路線自体を行政は廃止したがっているなんて話も聞きますので、もやもやの残る10号指定です。

阪急京都本線 坪井 産業道路 乙の辻 第2条1〜3号

 坪井             産業道路           乙の辻

 現在でも淡路や桂付近を高架化している阪急ですが、摂津市駅前後が引っかかったようです。産業道路踏切は富田西踏切や現在高架工事中の物集女踏切とならぶ、通行量の多い踏切ですが、坪井は普通の踏切ですし、乙の辻に至っては車両通行禁止です。まあ、すぐ後ろに団地が控えているので歩行者は多そうですが。3つ同時というのは、駅ごとまとめて高架化せよという、プレッシャーなのでしょうかね。

 

播但線 第二西川 第2条第8号

 香呂駅のすぐ南にある踏切で、西に小学校が控えています。通学路の8号指定ですが、現在でも歩行者用の区切りが設置されているものの、踏切幅が狭いようで指定されたようです。姫路よりかなり北上した山村のこんな踏切を、よく指定したものだなと思いますが、誰かが陳情しているのでしょうね。

加古川線 西脇 第2条第8号

 西脇といいながら、西脇市とは関係なくて、粟生駅の南、万願寺川右岸の県道小野香寺線との踏切です。8号指定ですが付近に学校は無く、県道といえども交通量はさほどありません。付近は山村なので民家もまばらで、すぐ南には盛土の線路下をトンネルで抜けれたりします。なぜこれが全国58箇所に代表される緊急要する踏切なのか解せませんが、現地では何か重要なことが起こっているのでしょうね。

山陽電鉄本線 中八木 谷八木 第2条第10号

 山陽本線藤江駅と中八木駅の間にあり、踏切の中間に谷八木西という小さな踏切があります。線路の南には小学校もありますが、8号指定ではなくて10号指定で、学校に一番近い谷八木西は入っていません。交通量の多い道でもなく、2つを指定する何かがあるのでしょうね。

 中八木            谷八木

近江鉄道 岡本3号 第2条第10号

 この名前を見て、最初は何かの間違いかと思いました。ここは近江鉄道本線の朝日大塚と朝日野の間にある第4種踏切です。この区間は本線の中でも乗車率が低く、間引き運転しても赤字が出て廃止のうわさの出るような場所で、踏切も見通しの良い田んぼの真ん中にあり、とても緊急を要する踏切とは思えません。東近江市・近江鉄道・岡本3号と言えばここになるのですが、隣の2号や1号と大差無いように思うのは私だけでしょうか。

近鉄橿原線 九条第9号 第2条第1・9号

 郡山城北を走る県道9号との交差する踏切で、交通量も多くて上記岡本3号と比べても納得の1号指定です。ただし、地形の関係上高架化は容易ではなさそうで、改良するといっても、歩行者用に広げる程度でしょうかね。

 自分が見てきた踏切だけ解説つけてみましたが、都心部以外での指定は疑問が出そうなものもあります。特に岡本3号はGoogleマップで見ても、のどかな田園風景が広がる田舎道です。これらの踏切が今後どう改良されるのか、数年後に再訪してみようと思います。

 

inserted by FC2 system