サンツアー S-1

 先日手に入れたグランテックGR-27についていたRDで、カタログでは知っていましたが見るのは初めてです。SUNTOURが倒産する直前に出したS-1は、他のIndexRDと違って内部カムによって動きを制御しているため、ワイヤの引きしろは適当でよくてフリクションとの組み合わせでも動くらしいです(昔ジュニア自転車に流行ったコラムシフトに応用できそうですね)。後にSR-SUNTOURが後継機と目されるSX-50とかSX-100などを作っていますが、これは逆ツメになって本体が出っ張っており、S-1とは少しコンセプトが違うようです。

 特徴としては、ロープロフィルモデルでチェインステーの下に専用ブラケットを設け、本体はチェーンステーと平行にセットされています。そのため本体が出っ張らず、右に転倒してもRDが壊れにくいそうです。エンドブラケットに取り付ける従来の方法とは一線を隔した製品ですが、サンツアーが倒産したためか、チェーンステーへのブラケット直付けが面倒だったためか、あまり流行る事もなくすぐに消えてしまいました。

 取り付けはチェーンステー下の専用ブラケットに取り付けます。ワイヤーはBB下を回って直接入っており、アウターは使用しません。入ったワイヤーはメインロッドを2/3周回ってワイヤ止めにとまります。ワイヤーを引くことによってメインロッドがまわり、変速する仕組みです。ただ、ワイヤ止めから先のスペースが狭いため、ワイヤ先の処理が結構めんどくさいです。

先日入手したグランテッククロスのS1です。すべてオリジナルパーツの車体でしたので、左写真のワイヤ処理がメーカーデフォルトなのだと思います。
 上部3箇所にある爪の役割がやっと判りました。引っ掛けるようにして回すのですね。

 メインロッドの上部はC型止め輪で固定されていますので外します。次にリターン用のスプリングが外れます。このばねの力でワイヤーを戻すのですがテンションスプリングに比べると作りが華奢で、私のS-1ではリターン時のもたつき原因となっています。ばねを外すとメインロッドが見えます。これもシャフトにはまっているだけなので、すぐに外せます。

 メインロッドが変速の動きを制御しており、5〜7速で形が変わります。私のは7速ですが、6速と7速は1〜5速に比べて半分程度の太さになっています。太さが半分になっているのは、5速のロッドに増設したためか、6,7速部のみ何かに引っかかるためかは判りません。

 メインシャフトの奥に伝達金具が見えます。ロッドの回転によって伝達金具が次第に押され、それがメインアームに伝わってガイド部をインナー方向へと動かします。本体は通常のRDと同じようなパンタグラフ構造で、メインアームが内側に寄って変速するわけですが、ガイドプーリーの付きかたはまったく違っています。

 シャフトをすべて抜くとサブアームが外れてばねの力で跳ね上がります。ただし、メインアームはカシメで付いていますので分解はできません。本体のばねは通常のRDと同じくメインとサブの両方に付いています。

 真中に出ているネジが微調整用のネジです。メインシャフトからの伝達金具とアーム本体がこのネジによってつながっており、この間隔を変えることで変速の微調整を行っております。

分解図

分解できる所まで分解しましたが、小さな部品が多くて、組立てには注意を要します。

ピボットボルトは、まず薄いワッシャを付けてから本体に通します。本体側はワッシャと止めリングで固定します。調節ネジは本体に出ない程度で仮止めしておきます。

アームを引き寄せておいて、メインシャフトを通します。その後、メインロッドをはめこみます。

スプリングは下の穴に通してから、上部はくぼみに引っ掛けます。ダストカバーを載せた後にワイヤ巻き取り部を乗せるのですが、位置は矢印の様に本体の端が合うように乗せます。

ワイヤ止めネジやロッドのワッシャなどの小物を組付けます。ワイヤはネジより本体側を通るように組付けます。メインシャフトにワッシャ入れてから止め輪で止めるのですが、シャフトを十分に引き出しておかないと組付けにくくなります。

ガイドプーリー部は嵌め込みのカシメになっていて分解できませんので、そのままで清掃します。テンションプーリーの方は他のRDと同じ構造になってますので、グリスをつけて組み込みます。

ダストカバーの円形ゴムを載せてから本体に通したのち、薄ワッシャを入れます。

スプリングを所定の位置に通して、上部リングを乗せるのですが、このままでは入りません。まずスプリングを引っ掛けた後、プライヤなどで反時計回りに回転させてシャフトのくぼみに嵌め込みます。

C型止め輪をはめ込めば出来上がりです。カバーには窪みがついていますので、合わせてあげて下さい。反時計回りにネジって、止めネジを入れれば完成です。

本体後部には、High,Low用の調節ねじ穴がありますが、ねじは付いていません。このねじに対応するアームの出っ張りもありますので、設計時には企画されていたようですが、何らかの都合で省略されているようです。

 ロープロファイルRDですが、その付いている位置ゆえに後輪の着脱はめんどくさいので、着脱用にチェンレストが標準装備されているのも頷けます。外すときはまずギヤをトップに入れてチェンレストにチェンをかけます。通常ではRDを後方へ引くとホイルが外れますが、S-1ではRD本体が内外にしか動かないので無理です。結局、ロックナットをすべて外した後に、ハブ軸を斜めにして器用に抜いていきます。はめる時はこの逆で斜めにシャフトを入れておいてから、先ほどの逆になるようにはめてゆきます。慣れると早いですが、なれないとRD壊しそうです。こつは、ロックナットをすべて外してしまう所でしょうか。

 それでは実際どの程度のロープロファイルか見てみましょう。同じショートゲージのSLで比較してみます。テンションプーリーの高さは同じ700Cで比較して、S-1が235mmに対してSLが225mmと10mm上がっていますが、さほど違いはありませんでした。ただ、ディレーラーの位置は明らかに車体中心よりですので、障害物には有利なようです。

 外へのはみ出し幅はSLが45mmに比べてS-1は20mmと、明らかに少なくて済んでいます。RDが壊れるのは転倒より林道走行時に枝などに引っ掛けて壊れる方が多いと思いますので、それに対しては有利と思います。ただ、グランテックに採用されたのは輪行時の破損に対してだと思うのですが、私のグランテックは100回以上輪行しているものの、ガードがあるので一度も破損はしていません。輪行時の破損に対しては、ガードのないS-1の方がかえって不安な気がします。

 肝心の変速性能ですが、SLやRADIUSと比較してもさほど差はありません。と言うより私のS-1はスプリングのヘタリなどの問題で、変速にもたつきがあります。5速のS-1なら新品で売ってましたが7速S-1は見たことなく、希少性ゆえにその性能をフルに発揮できる個体はほとんど現存してないのではないかと思います。

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