カセットスプロケット

 フリーハブの登場と同時にスプロケットも新製されました。Topはボスフリーと同じねじ込みですが、2nd以降は9爪のスプライン、内径34.6mmのUG歯仕様と言うものです。ただ、工作機械の関係でしょうか、内装変速機用コグと同じ内径となっています。この内径は現行製品まで変更されていません。

 

 内装変速機用コグとは爪の形と本数が違うだけの同内径ですので、削って加工すると内装変速機に使用可能です。また、固定ギヤのコグとも同じだそうです。

 

 34.6mm内径で12Tまでのスプロケットが可能でしたが、デュラエースでは11TのTopを作りたかったようで、デュラエースのTopのみ32.0mmのネジ径となっています。そのため600など下位グレードとのTopギヤの互換が無くなり、デュラエース独自の32mmTopはUG規格最後の8段まで続きました。

 

 Topのスプロケットと違い、2nd以降のスプロケットはスプラインで、ツバの無い歯は共通で共用可能です。UG規格の次のHG規格は位置決用に爪の1つが大きくなっているだけで、内径や残り8つの爪は同じです。そのためHG規格のフリーハブにUG規格のスプラインスプロケットを入れることは可能です。また、ねじ切りのあるHG規格のフリーハブには600など34.6mmUG規格Topギヤが使用できますが、9段以降のフリーハブにはこのネジ切りは無くなったようです。

 

DuraAce EX

 カセットスプロケット登場時は5段と6段のみで7段はありませんでした。歯厚は共通の1.8mmですが、デュラエースEX6段レギュラーの歯間は独自規格の3.65mm間隔となっており、これはINDEX仕様になったCS-7400-6(6段)でも同じとなっています。ただし、スペーサーはレジン製のEXに比べて7400-6では金属製(グレー)になっています。

 

 デュラエースEXのギヤはオロ仕様でしたが、メッキではなく塗装のようなオロ仕様でしたので、剥げ易くてクリーナーで洗ったらほとんど剥げてしまいました。まあ、苦情が出たのでしょうか後期になってからボスフリーのデュラエースと同じようなメッキに変わっていました。

 

 デュラエースEXでは国内初の11Tが導入されました。私も早速組み込んで使用していたのですが、このギヤは他に比べて消耗が早く、1年程度で歯とびを起こして交換になりました。材質などにも問題があったのでしょうか、次の74系ニューデュラエースではなくなってしまいました。

DuraAce AX

Super-Shift Sprocket

 エアロブームの影響を受けて新機軸を打ち出したAXシリーズですが、スプロケットまできわものを出してきました。歯の一方を削って変速性能を良くしたそうですが、私にはどう見ても片ちびしたスプロケットにしか見えません。2nd以降の13T〜20Tに設定されており、TopはDuraAceEXと共通でした。次のNewDuraAceでは元に戻りましたので、真のきわものと言うところでしょうか。

New DuraAce

 1985年に74デュラが登場しますが登場時のカセットはまだ6段で、SISシフトレバー(SL-7400)は6速INDEXでした。歯の色はゴールドからシャンパン色へと変わって渋くなりましたが、Topは11Tが無くなって12Tからとなっています。ただし、歯間はデュラ独特の3.65mmでしたのでINDEXを使用するには、SL-7400とRD-7400をSETで使用する必要がありました。また、スペーサーはレジン製から金属製(グレー)になり、経年変化による間座崩壊はなくなりました。

 

 SIS対応と呼応したように7段カセットも登場しましたが、箱は間に合わなかったのか6段の箱に「7段SIS」のシールが貼ってあるものでした(左)。7段ではスペーサー(シルバー)を3.65mmから3.1mmに狭めたウルトラ仕様として、6段と同じフリーハブに乗せるように出来ています(右)。

 

 歯は6・7段共通ですが、Topや2ndのつばもスペーサーに合わせて短くなったため、ギヤ表面に「7S」の文字を入れて区別しています。

 

 UGカセットは8段まで出た後に8段HGカセットへと変更されました。8段UGのTopと2ndは7段と共用で、スペーサーのみ変更されています(7段:3.1mm、8段:3.0mm)。7段のフリーハブ本体を8段用に延長したのがFH-7402ですが、この本体をHG用に改造したのがFH-7403です。そのためFH-7403はUGとHG両方の歯が使用できるのですが、構造上の関係からかUGのTopギヤは32.0mmから34.6mmになり、FH-7403専用の34.6mmTop歯が出ていました。この歯には「BC34.6」の刻印があります。詳細はこちらへどうぞ。

 

600EX 105

 デュラエースEXの登場と同じく600EXが出ています。最小Topは12Tで、34.6mm径のネジはデュラと互換はありませんが、スプラインギヤは共通の9爪仕様で互換があります。後期の仕上げはオーソドックスなシルバーでした(左)。105など600より下位グレードの物はクロームメッキになりますが、規格は600と同じで互換性があります(中)。UG仕様のカセットスプロケットは変速ポイントが決まっているHGと違ってどんな組み合わせも出来ますので1枚ずつ独立していますが、利便性の問題からか低グレードでは3本のフィキシングボルトで繋げてあるものもあります。ボルトを外せばバラでの使用が出来ますが、ボルトは圧着されていますので削るのが大変です(右)。

 

 下位グレードのスペーサーは6段(3.7mm)がライトグレー、7段(3.15mm)がダークグレーで7段には「7S」マークがあります。ただし、6段7段ともに色違いのスペーサーが続々と出ていたようで、最終的にはノギスで測るか、「7S」マークを確認するかでの判別のようです。

 

UGギヤの互換性

 1988年度版のシマノパーツカタログに載っていた互換表です。これによるとスプロケットはデュラエースとデュラ以外でまず別れます。Topギヤはツバ付きのネジ式ですので互換性は少ないですが、デュラの7-8段は共用のようです。ツバ付きの2ndギヤでは6段、7段同士で共用できますし(青矢印)、ツバ無しのスプラインギヤは全製品に共用できます。スペーサーに関してはデュラの6・7・8段、デュラ以外の6・7段でそれぞれ厚みが違うのですが、表によると6段、7段では「フィキシングボルトは付かないが共用できる(黄矢印)」とされています。各段の差は0.05mmで7段なら0.3mmの差となりますが、その程度の差がSIS使用時に問題にならないのか、少し不可解なところです。

 

HGギヤ

 HG規格はロックリングの採用(左)、変速ポイント設定による歯の変形(中)、それに備えた歯の固定化と位置合わせ用の爪のワイド化(右)など、大きく進化しています。またTopのスプライン化によりデュラ独特のTopも廃止され、歯間も共通化されるなど部品の互換性もUpしています。8段以降の多段化ではカンパ等他社製品との互換など話題は色々あるようですが、解説は詳しい方にお願いいたします。

 

UG・HG互換性

 UGカセットはHGフリーに入るのに、HGカセットはUGフリーに入らないと言いますが、絶対とは言い切れません。HGフリーは左のように溝の1つが広くなっています。と言う事は、UGフリーの1つの溝を掘って深くすれば理論上は入るはずです(UG・HG共用のFH-7403は広くなっています)。ただし、カセットフリー本体を削るのは至難の業ですので、反対にHGスプロケットのほうを削ります。削る部分は広くなっている部分の向かって左側で、右の赤矢印で示されている部分です。回転は右方向ですので、力は向かって右の黒印の所にかかりますから削る部分には力がかからず、少々ラフに削っても問題ありません。実際、HGフリーにUGスプロケットを入れても問題ありませんので、矢印の部分の精度は入れば問題ないと思います。ただ、入っても本来の変速性能は保証されないと思いますので、どうしても欲しいLowスプロケットなど、常用しないスプロケットでの使用が妥当でしょう。この方法で代用できるのはスプラインスプロケットだけで、当然Topと2ndスプロケットは代用が効きません。Topや2ndのように交換頻度の高い部品の代用が効かないのは、厳しい所ですね。

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