その他のサンツアーボスフリー

 前項以外にも、初期のウイナー(S)やマイクロライト、ボスフリー最後のAP-PoweFlo(Lockring)などのボスフリーがあります。それぞれ個性的なのか互換性が乏しいのですが、時々質問が来ますので上げてみました。

ウイナー(S)

 70年代後半のフリーで旧ウイナーなどとも呼ばれています。このフリーの分解は、前から中蓋を外す普通のフリーと違って後から外しますので、中蓋に穴が開いていないのが特徴です。

 

 分解はうしろから外す方式になっていますので、前面には蓋はありません(左)。裏面からの分解はフリーをハブから外した状態で行うため、固定のためのフリーホイールバイス(万力にスプロケット固定用のピンが付いているもの)が必要になります。
 まず、ロー側が上になるようにフリーをフリーホイールバイスに固定します。そののち逆ネジの蓋を外すのですが、カニ目レンチ用の穴は無くて溝が左右に2本切ってあるだけなので、溝にタガネなど(専用工具無し)を差し込んで左右交互に叩いて外します(中央)。
 組み立ては逆で、反時計回りに蓋を叩いてゆきます。きつく叩いて締めておかないと、旅先で緩んだ日などには目も当てられませんね。

 

マイクロライト

 80年頃に出現した決戦用軽量化フリーです。歯も軽合製のため6速で175g(LF-6000)と同時期のウイナープロ(340g・WR-6500)のほぼ半分ですが、値段もウイナープロの¥2,950に対して¥13,300と4倍以上になっていました。当然減りも早いので、トップのみ鉄の歯を使用して凌いでいた人もいたそうです。
 フリー抜きも6爪と特殊で、きわものとして一代限りの短命に終わりました。

AP PowerFlo(Lockring)

 93年製GRANDTECHに付いていたフリーでその時のRDは、かのS-1でした。ボスフリーもフリーハブの固定編成化を受けて、APを固定編成化したAP PoweFloを出していました。ボス自体はAPを踏襲していたのでTOPねじ込み方式でしたが、SUNTOUR最後の時になってフリーハブと同じくLockringを採用したボスフリーが出たようです。ただ、私の持っている資料にはこれの記載は無く、現物見るまでは存在を知りませんでした。方式はTOPをスプライン化して、その外側にLockringをつけただけです。
 ロックリングは歯と同じく正ネジで、現行フリーハブのロックリングと同じです。

 スプライン化されたTOPを含めてすべての歯に、位置決定の△印付けられており、スプラインもその部分だけは幅広くなっていて(矢印)間違わないようになっています。またAP PowerFloとよく似ていますが、スプラインの間隔が違うので歯の互換性はありません。
 このフリーが出て、その後ほどなくSUNTOURは倒産しましたが、SR SUNTOURになって、TAIWAN製の同じような製品が出回っているようです。

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