チェーンガード

 チェーンガードと言えば、ズボン裾の噛み込みを防ぐために付けられたプラスティックの板や、ママちゃりに付いている屋根のようなものが一般的ですが、ここでは輪行時にフロントチェンリングを守るべく付けられたチェーンガードを見てみます。

既製品

SUGINO No3(48T) 500g

 ブリヂストン・グランテックに初期型より付いているチェンリングです。クランクは軽合製ですがチェーンガードとチェンリングは鉄製でクランクとはカシメで付いています。
 グランテックは中折れ式の輪行車で輪行時にチェンリングが接地するため、鉄製のガードを備えています。それでも、肩紐が外れたために落下して、破損事故を経験しております。

 分解機構上、チェンリングの接地は、やも得ないようです(左)。歯(48T)も鉄製で、本体とカシメで付いています。このチェーンガードは46-48T用で、直径は206mmありました。

 

 チェーンとの間隔は左のようなもので、ガード縁まで2mm程度隙間があります。チェンリングはかなり外周で止められているので、表記どおり45T以下のギヤには使用できないようです。

 

SUGINO No3(46T) 615g

 グランテックの後期から付いているもので、46Tに減ると共にギヤの形状が変わっています。このギヤは円形の板をギヤ状に打ち抜いたようで、残りの外周がチェンリングの役割を果たしています。強度的にもUpして良いのですが、重量Upは仕方ないですね。

 

SAKAE(46T) 525g

 グランテック後期に付いているものですが、SAKAE製になって汎用クランクを使用しています。PCD144のクランクのアウターとインナーにチェーンガードを入れて、センターに相当する部分にチェンリングが入っています。46T用で直径は197mmあり、チェンリングとチェーンガードの厚さは3.0mmと同じですので、チェンリングから加工されたように思います。このモデルは鉄製部分が無くて軽量化されているはずですが、チェンリングが2枚あるので重量は526gとなりSUGINO No3より重くなっています。ただし、強度は申し分ないように思いました。チェーンガード直径は197mm。

 

SUGINO(46T)

 グランテッククロス(GRC-26)に付いているチェンリングで、クランク長は152mmと短めです。歯とクランクは軽合金のようで、カシメで付いています。これにPCD110のSUGINOチェーンガードが表裏2枚ついています。

 

 SUGINO G5A2Tと思われるチェーンガードですが、厚さ2mmと薄いので、単体だけではさほど強そうではりません。ただ、表裏2枚をチェンリングにつけると結構強くなってます。直径は200mm、チェーンの外側より4mm程度大きくて、サイズはちょうどです。

 

SUGINO(39T) 537g

 グランテックミニ(GRM203)に付いていたもので、152mmの軽合クランクに鉄の厚歯(1/8")が付いていました。チェーンガードはSUGINO G5A2Tに似ているのですが、取り付け部が湾曲しておらず、スペーサーを介して本体に付けられているなどの点が違います。チェーンガード直径は176mmでサイズは妥当でした。

 

SAKAE CUSTOM A(48T) 571g

 SAKAE CUSTOM A 48T。自転車店の不良在庫として右クランクのみ残っていたものです。SUGINO No3 と同様の構造で、鉄の本体に鉄の歯がカシメてあります。クランク長も165mmでNo3と同じなのですが重さが71gほど重くなってます。アームの幅や厚さの違いなどでしょうかね。

 

SUGINO(48T) 607g

 SUGINOのクランク48Tですが、本体は鉄製の厚歯仕様で600gを越える重量級です。チェーンガードはPCD110のSUGINO製で48-50となっています。48Tでは少し大きめに見えますね。

 

ギヤとチェーンガードの大きさ

 既製品ではギヤとチェーンガードの大きさがどうなっているのか見てみました。

               ガード直径 ギヤとの直径差

 39T(直径164mm)  SUGINO    176mm     12mm    2mmガード1枚だけ
 46T(直径192mm)  SUGINO No3  206mm     14mm    46-48T用の鉄ガード
          SAKAE    197mm      5mm    歯と同じ3mmのガード
          SUGINO    200mm      8mm    2mmガードを表裏使用
 48T(直径199mm)  SUGINO No3  206mm      7mm    46-48T用の鉄ガード
          SAKAE CUSTOM 204mm      5mm    本体一体鉄ガード
          SUGINO    217mm     18mm    48-50T用の2mmガード

 50Tのギヤ直径は208mmですので直径差は9mmとなります。結局、ギヤ直径プラス8mm前後が業界での適正値だろうと考えられます。

 

チェーンガードを作成する

チェーンガードとしては SUGINO G5A2T(左) が利用できますが、最近廃番になったようでHPから消えています。また、強度的にも今ひとつで、サイズも限られています。そこで、チェンリングの歯を切って代用できないかと試作しました。使用したのはSAKAE SuperCustom PCD144 52×42です。オークションで中古品を安価で仕入れましたので、心置きなく改造できます。

 作成方法は単純で、鉄鋸で歯を切るだけです。固定は万力を使うとしっかり固定でき、木片などで挟んで歯を保護しましょう。全周切るのにものすごく時間がかかるだろうと思ってましたが、20分程度で切れてしまいました。あとはグラインダーで削って仕上げをします。

 今回切ったチェンリングは52Tで、42Tのチェーンガードとしては多少大きめです。歯を落とした52Tの直径は198mm、42Tの直径は175mmで23mmの差があります。

 実用上は46Tが適度なので、DuraAceのPCD144-46T(薄歯)を仕入れました。PCD144はピスト用で結構出回っているのですね。46Tの直径は192mmですので、差は6mmとなってなかなか良い感じです。

 実際に切るとして、どの程度直径が小さくなるのでしょうか。チェンリングの厚さは3mmですが、チェーンの当たる部分は2mm以下になっています。そこで、たいていのチェンリングには1mmの差による段差が発生しています。そして刃先から段差までは約9mmですので、段差に沿って切除すれば18mm程度短くなります。

 上のテーブルは手持ちのチェンリングを実測した値で、チェーンガード化した場合はこの値より18mm短くなります。既製品などのデータよりチェーンガードの最適値をチェンリング直径+8mmとすると、最適となるチェンリング歯数が導き出せます。前述46T用のチェーンガードでは192mm(46T直径)+8mm+18mm(切除部)=218mmとなり、52Tか53Tが最適となります。データ上から見ると、使用するチェンリングに6〜7T足した歯数がチェーンガードに適しているようです。51Tなんて中途半端なギヤを持っていますが、これも45Tのチェーンガードとして役に立ってくれそうです。

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