ハブの寸法(オーバーロックナット寸法)

 旧車レストア時の交換部品で問題になる部品の一つにハブがあります。特に最近のリヤハブはエンド幅が130mm以上になってしまって代用できません。また、旧車のパーツを流用するにしても規格の違う物が存在しています。ここでは、オーバーロックナット寸法と、前後ハブの規格と変更について書いてみます。

 

オーバーロックナット寸法

 オーバーロックナット寸法(O.L.D)とは、ハブで言えばロックナットの外側の寸法で、フレームで言えばハブの当たる部分の内側の寸法です。最近のハブのオーバーロックナット寸法はフロント100mm、リヤは130(135)mmですが、昭和の時代のでは、フロントは96mm又は100mm。リヤは120mm、124mm、126mmなどがありました。

 

フロントハブ

 フロントのO.L.Dは93mm96mm、100mmがありましたが、後に100mmに統一されました。ただし本体設計に変更は無かったようで、両側に2mmのスペーサー(左・矢印)を足していました。当然、後から出てきたハブは、最初から100mm設計なのでスペーサーはありません(右)。 

 

ハブのフランジ幅を測ってみました。左よりSAKAEシールド(100)、SUZUEシールド(100)、デュラエースLF(100)、シマノレギュラー(96)、デュラエースSF(100)です。
フランジ幅は、SAKAE(61.5)、デュラエースSF(71.3)で、デュラエースLF、レギュラーLF、SUZUEの3つは69.3mmと同じでした。フランジ幅は製品によって違いはあるものの、O.L.D.とは関係ないようです

リヤハブ

 リヤは5段変速は120mm、6段変速は126mmが主流でしたが、一部で124mmなどの亜流もありました。写真はデュラエースの120mmと126mmハブですが、本体と玉押し、ナットは共通で、中空シャフトとスペーサ(矢印)の長さが違うだけでした。なお、シングルギヤを搭載するトラック用の110mmと言うのもありますが、一般には使用しません。

 

左よりSAKAEシールド(126)、SUZUEシールド(126)、デュラエースLF(126)、シマノレギュラー(124)、デュラエースSF(120)で、フランジ幅は、SAKAE(50.4)、デュラエースSF(57.2)。デュラエースLF、レギュラーLF、SUZUEの3つは53.5mmと同じでした。リヤのフランジ幅もO.L.D.とは関係ないようです

サイズの変更

96mm → 100mm

 両側に2mmのスペーサーをはめて対応しますが、ロックナットを2mm太い物に変えて100mmに対応することも可能です(左)。ただ、中空シャフトの場合O.L.D.100mmのシャフト長は108mmありますが、O.L.D96mmでは104mmしかありません(右)。中空シャフトの場合は4mmの差であってもシャフトは流用できませんが、ソリッドシャフトの場合は問題ありません。

 

100mm → 96mm

 スペーサーがあるハブなら抜けば良いのですが、元々100mm設計のハブでは薄いロックナットに変更して対応する事も出来ます(右)。デュラエースのロックナットは5mmですので、3mmの薄いナット(下)に替えればよいわけです。また、96mmエンドのフォークに100mmを無理矢理入れる事も出きるそうですが、エンドの平行性が狂うなどスマートではありませんね。クイックの場合は中空シャフトも交換になります。

 

120mm → 126mm

 通常は右側(ボスフリー側)に6mm長くなったスペーサーを入れます。これによりオチョコ量は3mm増えますが、右側のスペースが増えてレギュラー6段のフリーが入ります。ただし、オチョコ量が変化しますので、完組みホイールではセンターの調整も必要となります。シャフトも120mm用から126mm用へ交換する必要がありますが、上のようにハブSETとして売られているものを購入・交換すればスマートです。

 

 左側に4mm(矢印)右側に2mm加えたスペーサーを入れて(左)、ウルトラ6段のボスフリーで対応する事も出来ます(右)。こうすればオチョコ量は逆に1mm減って、より強いホイールが出来ますし、レギュラー5段を使用するなら6mmのスペーサーを左のみに加える事も可能です(ただし、チェンラインの調整も必要となります)。

 

126mm → 120mm

5段変速のO.L.D.は120mmですので、旧車レストアする場合に需要ありそうです。デュラエースのようにスペーサーと中空シャフトの変更だけで対応できる物もありますが(左)、ナットとスペーサーが一体化している普及品グレード(右)では、120mmセットを購入して交換するしかなさそうです。中空シャフトの場合、ネジ径はミリネジで共通ですので他社の物を流用できますが、ナットや玉押しの厚みはメーカーによって微妙に違いますので微調整が必要になることもあります。エンドを強引に広げて126mmハブを120mmの鉄フレームに入れる方もいるようですが、フレームにどの程度の異常値が掛かるか不明ですのでお勧めはしませんし、カーボンなど鉄以外の製品では無理筋です。

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