旧車レストア

分解編

 適度に清掃が済んだら分解していきましょう。分解しながら各パーツの可否を値踏みするこの時が一番楽しいかもしれません。ほとんどはネジを緩めれば外れますが、ネジを外さないと取れないもの、タイヤチェーンボトムブラケット(BB)など特殊なはずし方が必要な物もあります。

 

 どこから分解をはじめても良いのですが、ペダル外しボトムブラケット(BB)分解はホイールが付いているほうが作業しやすいので、一番最初にするほうが良いでしょう。また、BB右ワンを外すかどうかはこの時点で決めたほうが作業がしやすいので、ペダル外してBBの左ワンを外した後、清掃行って虫食いが無ければ右ワン外さずに作業を進めます。BBの分解方法はリンク参照

 

 あとは外していくだけですが、外したボルトやナットは行方不明になったり、もとあった位置がわからなくなったりするので、できるだけ本体やパーツに付けておきましょう。泥除けステーのネジは本体へ、サイドプルブレーキのワッシャなどは順番間違えないようにしてナットで止めておくと便利です。

 

虫食いの検査

 分解後虫食いの検査をします。虫食いはベアリング部に発生しますので、前後ハブ、BB、ヘッドパーツ、そしてペダルとボスフリーです。

 

前後ハブ

 レストアの要にして最大の山場、ハブが生きていればレストアは半分成功したも同然です(笑)。種類や分解方法はリンク先参照。何事も無ければグリスアップして終わりですが、虫食いが発生していたら対策に追われ、最悪はホイール破棄や組みなおしに至ります。ハブの回転部分は水やごみが入るとグリスが劣化しやすく、整備せずに使いつづけると鋼球や球押しに傷(通称-虫食い)が発生します。虫食いができると回転に影響しますので交換するのですが、球押しはハブ毎に形が違っていたりして共通性が少なく、古い部品では交換不能になってしまいます。なお、均等な線状のラインは正常です。

 

 最新のハブに交換するにしても、リムとスポークで結ばれていますので簡単には交換できません。リヤハブに至っては現行品の多段カセットハブはオーバーロックナット寸法(O.L.D.)が130mmあるので、126mm以下の古いフレームでは無理矢理入れるか諦めるしか有りません。
 ただ、最近ではDiaCompeからENE CICLOブランドで126mmのボスハブが出たりして、レストアに明るい話題も多少は出ているようです。

 

 小さな虫食いなら見なかった事にして使用している人もいますが、あまり気持ちのよいものではありませんね。ハブ本体のワンに虫食いがある場合は交換しかありませんが、球押しなら代替が効くかもしれません。70年代のマスプロ車(以下旧車)はSANSIN(三信松本)のハブを使用している事が多く、現在の新古品の球押しで代替が効く場合もあるので、リンク先と条件が合えば再生可能です。なお、球(ボール)シャフトは現行品と同じ規格ですので入手は簡単です。

 

ボトムブラケット(BB)

 最初に分解していますので、虫食いの有無を確認しましょう。虫食いが無ければグリスアップして終了ですが、虫食いがある場合は対処に追われます。ほとんどの旧車のBBシャフトはJIS規格の4角錐ですから代替が効きますが、長さが各種あるのと部品供給が極端に少なくなっていますので、自分の求めるシャフトが手にはいる確率は低いです。シャフトに「3U」などの文字があるはずですから、種類をリンク先で確認してください。現実的にはホローテックなど最新シールドBBも入りますので、クランクごと総取替えが手っ取り早いですが、クランクかえると雰囲気が変わるのと費用もかさみますので、レストアせずに旧車風味の新車を作ったほうが早いかもしれません。球(リテーナー)は製品供給ありますし、ワンは虫食いが少ないうえに互換性が高いのでBBシャフトほど入手に苦労する事は無いと思います。また、ハブほど高速回転しませんので、虫食いは見なかった事にして使用している人も見かけます。

 

ヘッドパーツ

 分解時にばらばらになりますので順番覚えておきましょう。清掃時に虫食いが無ければグリスアップして終わりですが、虫食いがあれば交換となります。ハブなどと違ってヘッドパーツは補修部品の流通が皆無ですので全体で交換となります。球はバラ球の事も有りますが、たいていはリテーナー形式になっています。さほど高価でもなくて簡単に入手できますので、レストア時に交換するもの良いでしょう。
 ほとんどの旧車のヘッドパーツは1インチのノーマルヘッド(JIS)で互換性がありますが、BBと同じく長さが各種有りますので、希望の品が手にはいるかどうかは微妙です。また最近ではアヘッドに移行してJISのスレッドヘッドパーツは無くなりつつありますので、さらに入手困難です。種類と交換方法はリンク先を参照してください。上記と同じように虫食いを見なかった事にするのも良いのでしょうが、ハンドルのフィーリングにも影響しますので、私なら腐ったヘッドパーツを使用し続ける気にはなれません。

 

 ペダル(左)は分解調整が難しく、替えのシャフトやコーンも手に入り難いのと、クランクとの勘合は統一規格ですので不具合があれば現行製品へ交換するほうが現実的です。幸い、当時と同じタイプのペダルが三ヶ島から販売されていますので、雰囲気を変えずに新品が購入できるのは助かります。分解・グリスアップしたい方は折り畳みペダルの分解方法を上げていますので参考にして下さい。
 ボスフリー(右)も分解・組立が難しく、ボス部の替えパーツなどは当時から供給もされていないので不具合があれば交換です。ただ、たいていは動きが渋くなっている程度ですので、リンク先のようにオイルを流すだけで復活したりします。ボスフリーの勘合部は、国内流通部品ではJIS統一規格ですので現行製品が使用できますが、供給が極めて限られているのが実情です。

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