玉押しの互換

  実用品として使用している自転車においてタイヤなど消耗品の点検・交換は必須ですが、ハブシャフトも定期的な保守と共に玉押しの交換が必要になってきます。タイヤなどの規格品は種類を選べますが、玉押しはモデルごとに設計が違っていることが多くて融通の利きにくい製品です。古い製品や製造中止品の玉押しは手に入り難く、故障を機にハブごと交換となりますが、デュラエース・ラージフランジなどの名品は捨てるに忍びなく、代用品で何とかならないかと思います。

ここではデュラエースを中心に、ハブ軸構成の経緯を見てみました。

 

DuraAce

 70年代初頭に出現し、スモールフランジ(HS-731(F)、HS-831(5R))とラージフランジ(H-731(F)、H-831(5R))がでていました。その後126mmの6段仕様やクイックシャフトのノブが変わるなどのマイナーチェンジを受け、スモールフランジ(HA-100)とラージフランジ(HA-200)になりましたが、ハブ軸関係は同じでした。70年代最後になってカセットハブのDura-Ace EXが出ましたが、時同じくしてクイックがEXと同じ形に変わった71系スモールフランジ(HB-7110)、ラージフランジ(HB-7120)に変わっています。この71デュラも80年代後半には消えており、初期から続いたデュラのラージフランジも無くなってしまいました。このモデルは2回マイナーチェンジしたものの、クイックの変更程度でしたのでハブ軸関係はすべて共通です。

 

DuraAce EX

 フリーハブの第一号機として出た初代EXのリヤハブはハブ軸関係が大きく変わりましたが、フロントはダストキャップが変わった程度で初代ジュラエースと同じ構成でした。
 2代目EXはダイレクションフリーハブになり、ハブセンターにコブが出来て本体が新製されましたが、フロントのハブ軸構成は初代と同じ物が使用されていました。
 初代リヤハブは5段(FH-7250)と6段(FH-7260)、2代目は6段(FH-7261)と7段(FH-7271)の構成ですが、1つのハブ本体で複数の構成に対応したため、ハブ軸構成は煩雑になっています。

 

DuraAce AX

 AXシリーズではO.L.D.86mmのフロントハブ出現や特殊構造により、フロントハブ軸構成はこの機種のみ特殊です。リヤハブに関しては、最初に出た7段(FH-7370)は共通部品ではないものの、ハブ軸構成は初代と同じでシンプルでした。しかし、後から出た6段(FH-7260)の時に共用化を計ったためか7段のハブ軸構成も変更されて煩雑になってしまいました。

New DuraAce

 7400シリーズではコーンにシールリングが入ってハブ軸関係にも変更が加えられましたが形状は旧式と同じなため、多少の調整は要るものの旧製品と共用できています。74デュラではボスフリー用のリヤハブ(HB-7400-R)も出たため、カセットと合わせて2種類のリヤハブが存在します。そのカセットも、6・7速(FH-7400-6.7)、8速UG(FH-7402)、8速HG(FH-7403)と3種類も出ていました。カセットリヤハブの種類はこちらへ。

 

判別方法

 7400番までのデュラエースモデルは7100より前の初期、7100、7200(Dura-Ace EX)、7300(Dura-Ace AX)、7400(New Dura-Ace)に分けられますが、ハブセットの分類では7100番以前、7200、7300、7400の4種類になります。手持ちのハブがどのモデルなのか、判別方法を上げてみます。

 

ダストキャップで判別

 7100番までのモデルでは金属製のダストキャップを使用しています(左)、7200番(Dura-Ace EX)になると茶色の樹脂製のキャップに変わり、7300番(Dura-Ace AX)では水色の特殊なキャップへ、7400番(New Dura-Ace)では黒色の樹脂性キャップへ変更されています。この方法での判別が一番確実と思いますが、7300番以外はキャップの外径が同じですので後から交換されている可能性も有り、絶対と言うわけではありません。

 

外形で判別

 ラージフランジは7200番以降は出ていませんので、ラージフランジなら7100番までの初期型です。ただし、トラックハブもラージフランジで出ていますので、クイックシャフト仕様でなければ要注意です。ボスフリーなら7100番までか、7400番、カセットフリーなら7200、7300、7400番になります。ボスとカセット両方出ているのは7400番のみです。

 

コニカルナットで判別

 クイックシャフトのコニカルナットでも判別できます。円錐型のナットに環付きなら7100番までの初期。筋が入った銅色の形状なら7100・7200番。7300番はプラスティック形状で、7400番は環付きに戻るも、初期よりは円錐が緩い形状になっています。ただ、クイックは相互交換可能ですので、中古品などでは怪しくなってきます。

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