玉押しの互換

サンシン(SANSIN)

 ランドナー全盛の70-80年にかけてハブの製造をしており、マスプロ車によく採用されていました。グレードはプロフェッショナルを筆頭に、プロエム、ジャイロマスター、レギュラーの4種類が出ていて、BSなどのマスプロランドナーにはラージフランジのレギュラーが付いてました。80年代後半にはコンポ化の流行でサンツアーにOEM供給していたようですが、90年代に撤退したようです。さて、玉押しですが、レギュラーの玉押しなど新品で残っているはずも無いので、他グレードとの互換性を見てみます。

 

 ネットで購入出来た玉押しで、値は実測値です。ジャイロマスター(F。\30)は玉当たり面を簡易研磨、ノーマル(R・\30)は研磨なし、プロフェッショナル(R・\300)は矯正研磨でした。かなりの在庫を持たれていた様で、数年前からオークションで売られており、最近でも時々見かけます。

 

 手持ちのSANSINハブで、上記のコーンとこれらを比べてみます。左はBS DT-6110に使用されていたレギュラーで、70年代のランドナーによく採用されていました(以後レギュラーと表記)。中はグランテック初期型のハブでレギュラーグレードです(以後グランテック)。ナット締めなのでBC5/16,8/3規格ですが、ハブ本体は同じなのでM9/10へ組換え可能です。右は今でもNetで時々売られている在庫品でレギュラー相当品(以後SE)です。

 

フロント

 左上がグランテック初期型で、右2つが最近購入した在庫品です。グレードはレギュラーのようで、3つとも基部に「SE」の文字があり、Netでも「サンシンSE」なんて名前で今でも売られています。年代によってキャップが金属からゴム製に、本体基部もやや角みを帯びたりと少しずつ変化していますが(中)、基本的には同じものと思われます。

 レギュラー以外の3つは幅15.7mm、高さ10.6mmと同じで、レギュラーも差が0.2mmだけなので、4つともほぼ同じ大きさと考えてよいようです。ただ、玉のあたる面の湾曲は微妙に違っています。

 

SE本体にジャイロマスター

 SE本体にジャイロマスターの玉押しを入れました。入っている位置はSEとほぼ同じで、この2つは同じ物と考えて良さそうです。

レギュラー本体にジャイロマスター

レギュラー本体にもジャイロマスターは入りますが、1mm程度深く入るようです。これは玉押しの湾曲が多少深くなっているためと思います。O.L.D.はワッシャで調節できますので、レギュラーの玉押しに使用可能のようです。

 

グランテック本体にジャイロマスター

 グランテックのレギュラーハブにも、ジャイロマスターは1mm程度深く入ります(左)。玉の当たる部分の直径を測ると12.0mmでカーブの深いジャイロマスターは少し深い部分に当たるため、全高は同じでも多少深く入るようです。

 

 グランテックに3年使用したジャイロマスターです。ラインも1mm程度深いところに綺麗に出ており、代替品として申し分ないようです。
ただ、レギュラーは製造期間が長いため製造時期によって球押しの形状に多少の差異があるようで、最終的には現物合わせでしょう。詳細はリンク参照

リヤ

 レギュラー、グランテック、SEのリヤ実測値です。グランテックとSEはほぼ同じですが、レギュラーのみ幅が一回り大きくなっています。このためかナット径は17mmで、17mmハブスパナが必要になります。

 

SE本体にノーマル

 フロントと同じくSEとノーマルはほぼ同じ位置に入りますので、同等品と考えてよいようです。

レギュラー本体に各種

 3つとも純正品より深めに入りますが、一応問題なく収まります。幅は1mm弱小さいので、ダストキャップの間に多少に隙間が出きます。

 

グランテック本体に各種

 プロフェッショナルははぼ同じ位置に入りますが、ノーマルとSEは多少深めに入ります。幅は4つともほぼ同じなので、隙間の問題はありません。

 

 グランテックのリヤに3年使用したProfessionalです。ラインは大体同じ位置に付いていますが、材質の違いかラインが細いですね。詳細はリンク参照

 結局、アバウトに考えればSANSINのハブとコーンはかなりの互換性がありそうです。ただ、後輪に関しては、玉押し直径がレギュラー>SE(グランテック)=ジャイロマスター/ノーマル>プロフェッショナルですので、上級ハブに普及グレードの玉押しは入らない可能性があります。供給としては、2013年時点で「レギュラー」や「SE」の名前で新品ハブが\1,000〜\2,000程度で売られていますので、パーツ取りと考えて利用出来そうです。

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