直付けシフター台座

 フレームにはアウターキャップに始まり、各種の小物が直付けされています。直付けは処理もすっきりして見栄えがいいのですが、機種互換の無い小物は逆に不便になります。最近はSTI主流なので問題ありませんが、中古フレームを買う時に問題となる直付けレバー台座について書いてみました。

 

チェンジレバー台座

 高級ランドナーには結構直付けされていますが、互換性はほとんどありません。カンパとサンツアーの台座はVx以降で互換があるようですが、古いパーツで新作する場合や、中古フレーム買うときにはご注意ください。たま〜にオークションで直付台座の部品を見かけますが、めったに市場には出ないようです。

サンツアー PDL・PDM系
 PDLシリーズの専用台座で、ほかにラチェットのないDLW、サイクロン、VXシリーズなどのタイプがありますが、台座は微妙に違います。専用台座で互換性が無い割には一時期のマスプロ車に直付けされており、他のWレバーが使えなかったりします。

サンツアー VX系

 ロードVxに始まって、SLシリーズにも合いそうです。PDL系と似ているのですが、円柱の部分が少し細くてカンパとほぼ同じになっています。

サンツアー INDEX(Cyclone7000)

 INDEXシリーズになると切れ込みが下まで広がって、形状がまた変わっています。でも、本体はVx系の基部に入ります(逆は不可)。発売時期は短いですが、これの直付けもあるのでしょうね。

サンツアー INDEX(Superbe Pro)

 INDEXシリーズはすべて同じかと思いきや、実際は違っていました。スリット幅が狭くなりVX基部には入りません。専用の台座がありますが、ますますカンパとコンパチになったようです。(詳細は以下)

シマノ デュラエース

 まだEXが出る前の旧型デュラエースです。

シマノ 600

 デュラエースとは違って、長細い円柱状です。アラベスク模様は600EXですので、その前です

シマノ デュラエースEX・600EX共用

 アラベスク模様の600の頃です。EXシリーズより6段のフリーハブが出てきました。その形から、鉤型の基部とも呼ばれていますが、ネジ径は4.5mm(カンパなどは5.0mm)と小さくて特殊でした。

シマノ QB(LB-160)

 600の下位機種で古くからあるフリクション仕様です。QP(LB-170)とかQS(LB-150)なんて姉妹機種も出ていたようです。

シマノ QBDX(LB-180)

 600が出た当初は、600シリーズのレバーとして出ていたようです。

カンパ レコード

 昔はレコードの直付けセットがありました。サンツアーのVxと互換性があるとの噂あり。

ユーレー

 見たことはないですが、ユーレーにも直付けがあったのですね。レバーもジュビリー程度しか見たことはありませんでした。

 さて、サンツアーVx系とカンパはシフター基部で互換性があると言われていますが、先日Vxが手に入ったので検証してみました。

 

レバー台座

SUNTOUR VX 台座
 カンパと似ていますが細部は違います。高さは9.6mmと長くてスリット状に切ってある部分も5.2mmあります。台座の基部は正方形ではなくて横がやや長い長方形で、カンパやINDEXと同じになっています。

 

カンパニョロ レコード
 VXと似ていますが少し違います。基部は12.3×12.0mmの長方形、円筒直径は9.0mmでVXと同じですが、スリットの幅が5.9mmでVXより0.15mm細くなっています。このため、カンパレバーをVX基部に入れるのは多少削る必要が出てきます。また円筒の高さは9.2mmで多少短いわりには、スリットまで6.1mmと長くなっています。このためレバーによっては不具合が出そうですが、手持ちのVXレバーは基部からスラスト座金まで6mm以上あるので、この台座でも問題なく入りました。

 

SUNTOUR INDEX(Cyclone7000)
 INDEXになってからの台座です。基部は12.3×12.0mmと同じですが、円筒はなくすべてスリットが入った太鼓型です。直径も8.0mmと細い割にはスリット幅は6.1mmと太くて、カンパ、VXともに入りません。ただし、レバー本体は一体型の構造で、基部が入ってねじ込めれば付きますのでカンパやVXの台座にはすんなり入ります。

 

SUNTOUR INDEX(Superb Pro)
 AccuShiftのテクニカルデータによると、Aの許容範囲は5.80〜5.87mm、Bは11.9〜12.0mmとなっています。どの基部もBは12.0mmですが、AはVX基部より細くなっており、カンパとほぼ同じになっています。実際、SuperbProはVXには入らず、カンパ基部に入りました。Troubleshootingに、入らないときは削れと書いてありましたが、最後にこんな一節が書いてありました。「Don't learn the skill on someone else's frame」

レバー本体

Suntour VX
本体とスラスト座金の間にスペーサーが挟まっていて、圧迫により摩擦抵抗を調節する方式です。構造は至ってシンプルで、本体の外側は臼状になっていて圧力を調節します。

 

カンパニョロ レコード
最もシンプルなレバーです。本体を2枚の座金で挟むだけの構造で、本体外側は臼状となり圧迫によって摩擦抵抗を調節しています。Vxと同じと言うよりは、こちらがオリジナルですね。

 

SUNTOUR INDEX(Cyclone7000 I.F.C)
 INDEXシステムになったものです。リヤのレバーはINDEXのため分解は難しいですが、フロントのレバーは簡単に分解できます。フロントは以前と同じ摩擦式のフリクションなので、旧来の物と似たような構造です。このタイプのレバーは本体基部と円筒形の支えが一体化していますので、基部とネジさえ合って入れば円筒の形は問題になりません。

 

SUNTOUR INDEX(Superb Pro I.P.C)
 AccuShift出現と同時に出たI.P.Cレバーで、ウルトラ、レギュラー、パワー(フリクション)の3パターンが使用でき、左レバーもパワーシフトになっています。パワー機構は以前のラチェットと同じですが半分程度にコンパクト化され、右レバーはその外側にINDEX機構を積んでいます。機構は小さくて複雑なためか両レバーとも分解できませんので、完全な清掃は不可能となってしまいました。

 

カンパレコード(上)・SUNTOUR Vx(下)
 基部は全く同じですんなり入るのですが、太鼓状のスリットが入った座金が問題です。ほとんど同じのように見えますが、右のようにカンパのほうが0.15mm程度狭くなっています(下がカンパ、上がVxの座金)。このため、カンパ基部にVxレバーはすんなり入りますが、Vx基部にカンパレバーを入れる時はどちらかを多少削る必要があります。
ただ、これは製造誤差の範囲かもしれませんので、他の物ではうまく行くかもしれません。

 

それでは、レバーと台座の互換性を見てみましょう。

VX台座
 カンパレコードは座金が少し狭くて入りません(中)。Cyclone7000は問題なく付いています(右)

 

カンパ台座
 VX、レコード、Cyclone7000ともにすんなりと付きます。

 

 INDEX(Cyclone7000)台座はスリット幅が6.1mmと少し太いので、VX、カンパ共に入りません。また台座を削って入れたとしても、円筒径が8.0mmと細いので、レバー本体を支える事が出来ず、使用できません。
 Cyclone7000は左のように、基部自体に円筒が組み込まれており、本体は基部と中心を通るネジで止まっています。本体の内部径は9.0mmあり、VXやカンパの台座にぴったり入るようになっています。それなら自分の台座も9.0mmにすれば良さそうな物ですが、なぜか1.0mm小さいですね。

 AccuShift台座のスリット幅は5.80〜5.87mmとされてしまいましたので、同社のVX台座には入らないくせにカンパの台座にはすんなり入りました。結局、カンパコンパチのSUNTOUR台座とはAccuShift台座の事を言うのでしょうね。Cyclone7000もAccuShiftですが、上の構造から見てもすんなりAccuShift台座に入りそうですね。

結局、台座ならカンパ最強レバーならCyclone7000と言う所でしょうか。古いフレームをレストアするときの参考になれば幸いです。

 

 
VX台座
カンパ台座
Cyclone7000
Superbe Pro
VXレバー
×
?
レコードレバー
○(削る)
×
?
INDEX(Cyclone7000)
?
INDEX(Superbe Pro)
○(削る)
×
SuperbeProの台座が無いため汎用性は不明だが、スペックはカンパ台座とほぼ同じ。

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