扇沢とクモマツマキチョウ

S49.6.9

 どこで情報を仕入れたのかは忘れましたが、北アルプスの針ノ木岳付近でクモマツマキチョウが採集できると聞いて訪れました。時期は6月の第二日曜日で、両親と2回訪問しています。行きは一部で有名だった「ちくま2号」、帰りは「しなの」-「新幹線」でした。普通座席の夜行急行で信濃大町へ行き、そこから扇沢まではバスで上がります。一般客はここから関電道路を通って黒部ダム観光へと行くのですが、蝶採りは少し下った沢から侵入します。登山道もあるのですが沢から離れてしまいますので、目的地へは道なき雪渓の沢を詰めていきます。当然踏み跡などなく雪渓を適当に登っていくのですが、登るに従ってだんだん勾配は急になり、落石なども散在しはじめます。蝶は斜面の中腹あたりを回遊してきますので、60度くらいある斜面にへばりついて採るのですが、こうやって取れた蝶は一回目5匹、2回目2匹の計7匹でした。

扇沢入り口付近。

登山道は右の尾根中腹を登っていきます。

砂防ダムが数個ありますが、迂回して沢を遡上します。ここらあたりは残雪はありません。奥は爺ガ岳に続く稜線です。

扇沢中腹から蓮華岳を望みます。

 奥小沢入り口より岩小屋沢岳を望みます。めざす目的地はこの奥で、標高1670mあたりですが、道も踏跡もありませんので、雪庇を踏み抜かないように雪渓の中央を歩いていきます。
 蝶は写真左斜面の中腹のような所を回遊してきますので60度くらいある斜面にへばりついて到来を待ちます。

 矢印付近で採集します。
 斜面に張り付いたのち、1〜2回蝶をやり過ごして蝶道を確認し、50cm網で待ち伏せして一撃必殺です。ただ、そうそううまく網の真上は通りませんので軌道修正のため網を横へ振るのですが、バランスが崩れて体制を維持できず、そのまま雪渓へと走り降ります。
 雪渓の端は溶けて雪庇になっており、入り込むと出て来れませんので直前でジャンプして雪渓上に着地します。

 帰り道、2時頃の撮影ですが既に山は曇り始めています。

 奥小沢は画面奥の左側になります

 クモマツマキチョウはS50年2月に長野県天然記念物に指定され、その後は採集禁止となってしまい、以後は訪れておりません。
 ただ、中学3年の時に初夏の北アルプスへ行けたのは、思いで深いものとなっております。

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