TL-FH10

 TL-FH10はフリーボディーをハブから外す特殊形状の工具で、デュラEXの初期型(FH-7250/7260)と74系デュラ(FH-7400/7402/7403)のみに使用します。カセットフリーは基部がコンパクトに出来ているためスポーク交換時にも邪魔にならず、ボスフリーのようにフリーボディを外す必要がありません。そのためフリーボディを外すのは交換時のみで、交換部品の入手も困難な今となってはあまり必要はものではないと思っていました。

 

 74系デュラまでのフリーボディの分解は、ボディー内にある玉押し兼用の蓋を外せば行えるのですが、デュラEXの初期型のみはボディー内にあるはずの陥凹がありません(中)。蓋はサンツアー初代ウイナーのように裏面にあるようで、結局フリーボディーを外す羽目になりました。

 

 TL-FH10は、2013年時点でe-bayなどのオークションで時々見かけましたが、落札価格が5桁になることもあり、新品のハブセットを落札する方が安そうです。また、生涯に1〜2度しか使わない事も考慮して自作することにしました。
 まず最初に溝の測定です。と言ってもノギスで測るのですが奥まっている場所なのでかなり適当です。溝の幅は2.4mm、溝の対面までの距離は14.8mm、溝の深さは5.6mmとなりました。

 最初はTL-FH40の代替品のようにソケットに切れ目を入れて作成しようと思いましたが、8箇所の爪が同時に当たるように鉄ノコで形成するのは不可能に近いので却下。次に、2箇所のみで接する棒状の工具を作成するため厚さ3mm、幅16mmの鉄板をホームセンターで購入し(¥190)、グラインダーで削って仕上げます。10分程度で作製でき、バイスに挟んで回しましたが、見事にひん曲がりました。

 

 次は棒状の物を削りだすことにして、安くて強そうな6角レンチに目を付けました。溝の最大幅は14.8mmですので14mmの六角レンチが最適です。14mmの最大幅は6角レンチの内角が120°で対角を含む直角三角形の1辺が14mmなので最大幅は14*(2/3)*3=16.16mm。結局6角レンチの山を0.68mm削れば14.8mmになります。その時の面の幅は0.68*3*2=2.35mmで必要な幅(2.4mm)と都合よく同じとなります。と言う事で、ホームセンターで14mm六角棒スパナを\375でGetです。

 

 グラインダーは手持ちの日曜大工セットの物を使用しました。まずは面取りしてある部分を平面になるまで削ります。次に突起が出るような形に削ればよいのですが、手持ちの工具では、どう考えても角になるように削れませんので、棒状になるように削っていきます。

  

 上下から削り込んでいき、3mm程度になった所で0.68mmの削りだしを行いました。1mm以下の削りだしを行うので、削りすぎに注意して数回に分けて削るのですが、この部分だけは手で削った方が良いかもしれません。削りだしにかかった時間は10数分程度でした。

 

 ピッタリ嵌るようになれば完成です。バイスに挟み込んで上からホイールを被せ、徐々に力を掛けていきます。力を掛けて行くと、最初にバイスを止めているネジが曲がりました。ネジを増加して固定を強くしたら今度はバイスを止めている木材が割れました。結局バイスを大きな板に固定してやっと外れました。外れる時は一瞬で、クッと回ればもう外れており、潔い感じでした。

 

 こうして1979年に購入して35年が経過したフリーボディーが初めて外れました。作業後の工具の具合ですが、左右とも傷が入ってますね。数回使用が限度のようですが、この作業はこのさき一生しないような気がします(笑)。

 

 装着も本来は工具を使用するのですが、あやしい工具ですので左のようにして締め込みました。ネジは順目ですので踏込む方向で締るため、ギヤにスプロケット回しを掛けて締めこみます。これで十分締りますが、不安なら組上げ後、少し走って負荷をかけ、玉押しの調子が緩くならなければOKでしょう。

 この記事はお役に立ちましたか。良ければ感想を掲示板へお願いします。自転車掲示板

inserted by FC2 system