スポルティーフ

更新:2023/04/10

 サイクリング部に入ってからの改造で、ランドナーはキャンピングに近くなってしまいましたので、もう一台軽快な車を作ることになりました。ロードが良かったのですが、まだ泥除けにこだわりがあり、チューブラーにリムセメントも嫌でしたので、スポルティフを作りました。当時は珍しかったW/Oの700Cや、11Tのトップギヤでチェンリングの小径化(MD化)など施していました。鳥取往復やクラブランなどに使っていましたが、クラッシュでフレームを曲げて引退となりました。
 制作直後の写真は残っておらず、上の写真は鳥取往復後の物で、泥除け取払ってヤジロベエでランプ付けてます。

フレーム:ナショナル オーダー モスグリーン 535mm S54.5作成
ハブ:シマノ デュラエースEX 36H
リム:UKAI SRIM 700C スポーク:#14-15バテッド
タイヤ ナショナル エキストラ 700*28C
チェンリング F:スギノ プロダイ 44*30 R:シマノ デュラエースEX 11*12*13*15*17*19
チェン シマノ デュラエース UG CN-7200
ハンドル 日東 Universiade B105 370mm バーテープ FUJITA 皮
ステム 日東パール7 平ウス VIVA スプリングベル(直付)
ヘッド小物 ニキョウ ウルティマ(リテーナー内臓)
ブレーキ マファック コンペティション CP直付 
レバー:吉貝 グランコンペ GC-160 AJ 
ペダル カンパニョロ スーパーレゲロ トラック 
ディレーラー F:デュラエースEX R:デュラエースEX レバー カンパニョロ レコード直付
サドル ユニカ No2 黒 バックスキン シートピラー サカエ ロイヤル-P1SL 27.0mm
泥除け 本所 NH27
ポンプ シリカ カンパニョロアダプタ付き 白
キャリア F:オーダー(未完成)

 

現在はPanasonicですが、前身のNational時代のオーダーフレームです。大阪の自転車店でオーダーしたのですが、当時はあまり詳しくなくて、ほとんどお任せでの製作でした。製作者のステッカー「T.Ono」が貼ってありましたが、斧 隆夫氏と言う業界では有名な人だと後で知ってびっくりです。4130クロモリの乗りやすい自転車でしたが、大学4年の時中央分離帯に乗り上げてダウンチューブを曲げてしまいました。破棄するには惜しいフレームでしたので実家のベランダに置いてたのですが、クロモリフレームなら修正できると言われて、最近修正してもらいました。部品の一部は後年作成したパナソニックのロードに使ってしまいましたが、いつかは古典スポルティフとして復活させたいと思っています。

 

スポルティフ再生

フレーム修復後も実家に放置されていましたが、誘われて参加するサイクルイベントが雨天決行で泥除け付きの自転車が必要になりそうなので急遽組み立て開始しました。要りそうな部品はヤクオフで見かけたら落札していましたが、いざ組付け開始すると色々と不具合や修正箇所が出てきました。

 

1)センタープル用フロントキャリア

 元々はオーダーキャリアが付く予定でしたが、オーダーを取次いだ自転車店が不誠実だったため未作のままでした。ヤクオフで見ていても寸法に会うキャリアは無かったのですが、TA用センタプルキャリアというセミオーダーのようなキャリアが手に入りました。貫通ボルト止めと仕様でしたのでボルトに固定する金属部分をたたいて伸ばし、泥除けとラグの間に滑り込ませています。泥除けとのクリアランスが問題になりそうですが、元々3mm程度のゴムスペーサーで止まってましたので、厚さとしては適正内に収まっています。手に入れたキャリアは精度が悪くて歪んでいましたが、溶接外れないように注意して手で曲げ直し、スペーサーを噛ませたりして何とか見れるものになりました。泥除けとは多少隙間ができたので、リヤブレーキの小物を噛ませて止めました。

2)フリーボディ本体

 リヤハブはDuraAceEX初期型(72Dura)のO.L.D126mm、ウルトラ6段仕様でしたが玉押しに虫食いがあり、フリー本体も引っ掛かりが出て不良でした。交換用フリーボディなんてレアな部品はヤフオクでも見かけたこと無いのでハブごと交換かと思ってましたら、ドイツのe-bayで出品されていた74Dura用のフリーボディが安価で2個手に入りました。72Duraと74Duraのハブ結合部は同じなのでピッタリ入りますが、74Duraは6/7段兼用で2mmほど本体が長く、ボディの内ワンも多少外側に出ていてEXのハブ構成で組むとセンターがかなり左にずれます。結局ワッシャー変更とスポークを張ってオチョコ量を増やし調整しましたが、それでもリヤタイヤと泥除けのクリアランスがぎりぎりで、新品タイヤのゴムひげがサワサワ当たってます。

 

3)UGカセット替え歯

 元々は11T〜19Tのクロスレシオでしたが、この年でそれは踏めないのとEX歯ではSISに不具合でそうなので、ヤフオクで仕入れていた74Dura(14-15-17-20-24)を使いました。Topギヤですが、6段用14TはDuraEXしか手持ちがないので、e-bayで仕入れた74Dura6段用13Tにしました。これらの歯は10年程度の期間をかけてオークションで集めましたが、必要な歯数の数倍以上の予備部品と言う名のデッドストックを抱えてしまうのはオールドパーツ扱う時のあるあるですね。

 

4)チェーン

 作成時にはDuraAce CN-7400が付いていましたが、グランテックミニに付けてしまいました。予備のCN-7400を使うほど使用しそうになく、かと言ってHGやサンツアーのAPシリーズを使うのもSISシンクロに影響がありそうなので、UGが無くなる直前に投げ売りされていたUG-50を使用しました。装着直後はじゃりじゃり感が出たものの、10Kmも走ればうまく馴染んで音も出なくなりました。このチェーン、数百円で3本仕入れたもののローグレードなので使用する機会も無いだろうと思っていましたが、意外なところで役に立ちました。

 

ここまでは暇に任せて部品を集めていましたが、いざ修復作業を始めるといろいろ問題が出てきました。

 

1)センタープルブレーキ用小物

 ブレーキはMAFACコンチネンタル直付けですが、保管中にバネ止め用アルミプレートが1つ紛失して3つしか見つかりません。これが無いと修復できないのでアルミ板くりぬいて作ろうかと考えてましたら、そっくりの物がDIACOMPEのセンタプル用小物として出ていました。バネの長さで2種類ありますがバネの長いGC450用の直付けバネキットを購入。アルミプレートはそっくりと言うより同一品のようでぴったりと嵌ります。どうやらブレーキ本体はMAFACですが、直付け小物はDIACOMPEの物を流用していたようですね。さすがにバネは同一ではありませんが、形と仕上げが多少違う程度で使用できました。

 

 付いていたMAFACのブレーキシューは効くものの、さすがに40年前のゴム製品を使う気にはならないので、代替品探してましたらシマノのカンティ用ブレーキシューM65/Tが軸径7.0mmで使えました。グランコンペセンタープル用GC450 EYE BOLT SETを使えば3Dでのシュー調整が可能だそうですが、そこまで性能追求しないのでそのまま付けています。

 

 ブレーキシュー交換中にアーチワイヤー見てましたら、ほつけは無いもののヨレてました。下りのブレーキ時にちぎれても困るので交換検討するもMAFACはすでに無し。代替はGC450用が入りそうですが長さが100mmで15mmほど短くなっています。注文して付けてみると太鼓が多少太くて入らないので、ブレーキ本体の溝を少し削って入れましたが、長さは違和感なく入っております。

 

2)ディレーラーエンド

 以前も手こずった6段SIS用RD-7400ですが、LOW側に移動するにつれシンクロがずれてきます。テンションの微調整でもうまくいかず、30年前にも同様の事が起こってフレーム新調に至っていました。ただ、今回はエンド修正機を持っていましたので測ってみますと垂直方向は41mmで正常なものの、水平方向は前方で60mm、後方で20mmと20mmもずれていました。修正機を押し引きしてエンドを補正するのですが、グランテックではすぐに曲がったエンドが、このフレームではびくともしません。かなり厚いエンドなので思いっきり引いて左右とも40mm程度に修正すると、うそのようにシンクロ始めました。フリクションの頃では気にならなかったシンクロずれですが、SISはシビアなようでシンクロに悩む方はエンドを疑ってみるのも良いかと思います。
 その後、RD-7400のテクニカルガイドが入手出来たので読んでみますと、水平方向の差は+10.0mm〜-5.0mmに収めろと書いてありました。古いパーツはマニュアルが入手しづらいので、Netでの情報集めは重要ですね。

 

3)ディレーラー

 エンド修正を行ってシンクロし始めたRD7400ですが、まだまだ曲者でした。このRDはダブルテンションなのですが、ピボットのバネが弱く通常の位置につけるとガイドプーリーが歯に近づきすぎて、ガイドプレートが後ろの歯に当たってしまいます。後期型は調整用のネジがありますが、これは初期型なので調整が効きません。結局本体を思いっきり時計回りへ回し、適正位置で強く固定しました。テンションバネも弱っていましたが、ガイドプレートには穴が2つ開いており、分解して強い方に入れ直すとテンションが上がって正常に作動するようになりました。

 

4)塗装

 ヘッド部を熱修正したので塗装が焼けてしまいました。全塗装をすると制作者のステッカーが消えてしまいますので、簡易塗装として車のタッチペンを使います。オートバックスにフロントフォーク持って行って色見本と比べたところ、4種類ほど候補に上がり、99工房 タッチアップペン スズキ Z2T S-78 グローブグリーンにしました。塗ってみると多少明るい緑ですが、塗装していない時より見た目が遥かに良くなりました。

 

5)ヘッドパーツ

 輪行を考えてニキョウ ULTIMAを入れていましたが、外して保存していましたので再度組付けました。この製品は2つの外ワンがそっくりで、どちらが上でもよいだろうと組付けたら玉の当たり方が偏っていました。フレーム修正時にラグにも影響が出てヘッドが歪んだのなら再生は中止しかないと思いましたが、ふと上下逆かもしれないと思ってフォークを逆向きに付けましたらスムーズに動きます。再度付け外しするのですがシールドタイプでベアリングが外れず、圧入にワン本体を押す通常の工具が使えないので手製の木製工具で周囲から圧入しました。

 

6)フロントディレーラー

 元々DuraEXで組んでいたのでFDもFD-7200を使用しましたが、ケーブル止めボルトがボロい六角ボルトに変わってました。不思議に思って組付けてみると泥除けにも凹ませた傷があります。トップに移動したときにボルトの頭が当たって変速不良になったので、頭の低い平ボルトに変えたのを思い出しました。このFDは変速向上のためインナープレートの先端が内向きになっていて、変速は良いもののチェーンの少しの移動でじゃりじゃり音が出るのでプライヤーで外側に曲げてあります。静かになって変速性能の低下もありませんでした。

 

7)ブレーキレバー ステム

 ブレーキはGC162が付いていましたが、パッドが入手困難なのでロードから外されたNGC210を付けています。このパッドもすでに廃版なのですが、現行の204系のパッドが多少の改造で入ります。耐久性を考えたのかゴム質は固めですが、おかげで隙間部分がペコペコせずに済んでいます。ハンドルはロードに供出していたNITTO B105が里帰り。ステムはグランテック派生品のSR-80を暫定的に付けていましたが長いので手持ちのSAKAE APEX AX-60AHに替え、ドリルで穴あけしてベルを直付けしています。

 

8)チェンリング ペダル

 チェンリングは以前から付けたいと思っていたPCD86mmのサカエカスタム5-TGを付けたのですが、ロードに譲ったためプロダイクランクが里帰りしました。ペダルは輪行用の三ヶ島Ezy AR-2ロードをランドナーから拝借しています。

 

9)バーテープ

 バーテープはVivaのダークグリーンを選んだのですが、ダークではなく明るめの緑でした。コットンはすぐ汚れるので、Netで聞いた透明ニスを塗ってみました。最初はすごく色が変わったものの、換装すると元の色より緑がかって丁度良くなっております。ただ、コットンがニスを吸収してしまうので、汚れ除けの役目をさせるには数回に分けてかなり厚く塗らないといけないそうです。厚く塗ると手触りも悪くなるので、今回はこれくらいで様子見るつもりです。

 

10)デカール

 オリジナルのデカールがチェーンステーに貼ってありましたが、経年劣化で取れてしまってました。カッティングシートで作ろうかと思ってましたら、請け負う所をNetで見つけて1文字\65で作成してもらいました。一応屋外用で紫外線耐性はあるそうです。色もオリジナルに近くて雰囲気が良くなりました。

 

 40年の時を経て復活したスポルティフです。ギヤ比をロードとほぼ同じにしていますので、走行感は似ていますがタイヤが28Cのアメサイドなので多少重くて安定感があります。ポジションもロードよりは立っていて疲れにくく、ポタリングに良さそうです。速度を求めない時は、こちらの自転車でゆっくり走るのも良さそうですね。

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