サイドミラー分解

 対向車をよけるため、低速で退避したときに左サイドミラーを電柱に当てたことがあります。その頃より左サイドミラーがカクカクするようになったのですが、実害がないため放置していました。今回替えのミラーが手に入り、カクカクの原因も知りたくて分解してみました。

 Netでのミラー分解の記事は多いのですが、各社ごと、モデル毎に違うため参考になりません。BGの次モデルのBHではミラーの枠を引っ掛けてあるそうですが、BGは枠がネジ止めされていて、ミラーを剥がさないと取れないらしく、外した記事もほとんど見かけません。ホットガンで熱すると外れやすいそうですので、加熱しながらレンズと枠の間に薄い板を差し込んで引き上げます。

 

 何とか破壊せずに外せましたが、レンズがいつ割れてもおかしくない位に力を入れないと外せませんでした。外してみて分かったことですが、接着されている2カ所を重点的に加熱すればよいので、周辺部の過熱は不必要だったようです。レンズは思っていたより厚かったですが、割れずに取れたのは偶然のようにも思います。熱線の基部は半田付けで取れないのでミラー付けたまま作業しますが、再使用するなら袋などで保護した方がよさそうです。

 

 枠中央部のネジを取るとスプリングとクリップが取れますがこれだけでは枠は外れません。ミラーを上下左右に動かすためのロッドが繋がっていますが嵌め込みですので、ゆっくりと引っ張って取ります。

 

 ロッドはネジ切りがしてありますがナット止めではなく、3つのツメがある円形のプラスティック部に嵌っています。2つのモーターでプラスティック部が回り、ネジに沿ってミラーが微動する仕組みです。引けば「バリバリ」という音とともに抜けますが、大胆にすると爪がもげそうです。

 

 ミラー枠を外すと本体が見えます。本体は4本のネジでカバーに付いていて、ミラーの調整モーターも4本のネジで本体に止まっています。

 

 本体と車体基部は3本のネジで止まっており、外すと接合部が見えます。カバーの端にある黒のプラスティックパネルを上方へ引き抜くとスペースが出来ます。

 

 ここまで来てやっと本体が引き抜けます。なお、車体基部側もコードを伸ばすなどしてゆとりを持たせないと引き抜けません。

 

 本体上部のネジを2本抜いてカバーを外すとモーターが出てきます。ネジを外したことによりモーターは基部ごとフリーとなり、上方へ外せます。

 

 モーターにつながる減速ギヤは6つあり、最初の縦長のみプラスティックで以後は鉄製でした。分解時点でどれも歯の欠けなどなく、ぐらつきの原因ではありませんでした。

 

 2本のシャフトも引き抜いてからモーター基部の基盤を外すのですが、2本のネジを外した瞬間にスプリングの力で基部の機械が出てきます。
 基部の構造は、一番上部が制御盤。2番目の白い嵌め込みプラスティックが制御盤に接する電気接点。3番目は押さえの金具。4番目の鉄製円筒はD型の内円を持っていて、この凹みが車体側に接続する円筒基部にかみ合います。D型円筒は下部に3つの半球の膨らみを持っていて、5番目のギヤと接合します。

 

 5番目のギヤ(中央)は鉄製の縦長ギヤで上部に6つの半球のへこみがあり、ここで4番目のD型円筒(左)と接します。ギヤはモーターから続く減速ギヤの最後のギヤとかみ合い、下方はバネと接します(右)。最後はバネで、この力で4番目のD型円筒と5番目のギヤを圧着しています。
 ミラーは電動で動く以外に、衝突緊急時対応のため前後に動くようにできています。4番目と5番目の圧着をバネの力で行うことにより緊急時には4番目のみ動いて5番目のギヤには力がかからないようにして以降の減速ギヤを保護しています。4番目が3点、5番目が6点なのは30度動いた時点で半球が穴に入り、それ以上可動しにくくするためと思われます。

 

 円筒基部は中心部に配線が通り、下方で本体底部と接しています。ここも3つの半球部分で接しているのですが、円筒基部側に突起が出ています。この突起が本体底部の溝に入り込んでいるのですが、半球部分から動こうとする際に突起と溝の内部の出っ張りがあわさって軽く浮き上がるようになっており、半球部分の出入りの衝撃を和らげるようです。

 

 それでも円筒基部側の半球の凹み部分はなだらかに削れていて、これがグラグラの原因のようです。半球の出ている方は問題ないので、円筒基部のみ交換すればグラグラを解決出来ますが、ここまでの分解とさらに配線の抜き差しを考えると買い替えた方が早そうです。

 

 制御部です。白プラスティックの電気接点(中央)が配電盤のパターンを短絡して通電しています。パターンの長さによって可動部が変わりますので、今回仕入れた動き過ぎミラーもパターンを削れば良さそうですが、ミラーを割らずにここまでアプローチするのは至難の業です。接点の位置が狂うと元も子もありませんので、電気接点の位置は配電盤上に矢印で位置を示してあります。

  

 組み立ては分解と逆順で行います。2カ所のネジとモーター基盤の端の3点でスプリングの力を受止めるのですが、ネジ径に対して構造負担が大きいような気がするのですが滅多に分解する所ではないので良いのでしょうかね。上手くモーターカバーをかぶせたら本体をカバー内へ戻して組付け、ミラー枠とミラーを嵌めて終了です。

 今回は突発的な衝突の削れによるグラグラなのでしょうが、ミラーを畳むたびに基部の陥凹部分は力を受けて削れるので、構造上は仕方のない事なのかもしれません。減速ギヤは耐久性の高そうな鉄製を使用しており、コストかけているなと思いました。

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