ハブシャフト

 普段ならあまり気にすることの無いハブシャフトですが、クイック化や純正以外の玉押しの使用などでは問題になります。種類や規格などを見てみましょう。
 JIS規格で規定されている国産ハブシャフトのネジサイズは、BC5/16×26、BC3/8×26(インチネジ)、M9×1.0、M10×1.0(ミリネジ)の4種類があります。種類はナット止め用のソリッドシャフトとクイック用の中空シャフトがあり、材質は一般鋼と上級機種のクロモリ鋼があります。

 

ハブシャフトのネジサイズ

BC5/16×26(通称8mm)
 一般車のフロントで、一般鋼のソリッドシャフト。グランテックのフロントにも付いてます。
BC3/8×26(9.5mm)
 一般車のリヤで、一般鋼のソリッドシャフト。BMXにも採用されているそうです。

M9×1.0
 旧車・ロードのフロントです。材質は一般鋼やクロモリで、クイック用の中空シャフトが多いですが、競技用等に強化されたクロモリのソリッドシャフトも出ています。
M10×1.0
 ランドナー・ロードなど多段変速機のリヤですが、一部のBMXや一般車のリヤにも採用されているらしいです。ただし、ホームセンターなどでよく流通しているM10のナットは、1.50ピッチの物ですので入りません

 

ハブシャフトの種類

 ナット用のソリッドシャフトとクイック用の中空シャフトがありますが、軽量化のため少しだけ中空にした細穴のソリッドシャフトもあります。材質では、一般用は普通鋼で上位機種や中空シャフトはクロモリ鋼で出来ているようです

 

ハブシャフトの長さ

 クイックはその構造上長さが決められており、オーバーロックナット間寸法(O.L.D)+8mm〜+11mmとなっております。フロントシャフトの96mmと100mm用では4mm長さが違いますので、そのままでは流用できません(左)。ソリッドシャフトは多少長くても使えますので、O.L.D+42mm〜45mm程度の物が多いようです。

 

インチネジとミリネジ(ソリッドシャフト)

 インチネジとミリネジは太さも山も違うので互換性は無いはずです。実際、フロントではインチのシャフトにミリのナットを入れればスカスカで、ミリのシャフトにインチのナットは入りもしません。しかしリヤではミリのシャフトにインチのナットは入りませんが、インチのシャフト(BC3/8)にミリのナット(M10)を入れると、少しがたつく程度で入ってしまいます(左)。この事実が混乱を招くようで、M10のソリッドシャフトとして購入した3本のうち2本がM10ではなくてBC3/8のインチシャフトでした(中)。業者に問い合わせても、「間違いない」と言うので引き下がりましたが、業者でも混乱しているようです。合わせてよく見てみると、山が少しずつずれているのが判りますが(右)、単体では見分けはつきません。試しにインチシャフトにミリナットで後ハブを組んでみましたが、問題なく組めてしまいました。
 シャフトの判別は直径を計ってみればよいのですが、0.5〜1.0mm程度の違いを測るので誤差で間違うかもしれません。一番確実なのはフロント、リヤ共に、インチネジのナットが入ればインチシャフト、入らなければミリシャフトと言う事でしょう。なお、国産中空シャフトは全てミリシャフトですので、上記のような注意は要りません。シャフトに入らなければインチナット、入ればミリナットです。

O.L.D.120mm/126mmのリヤ中空シャフト

 フロントシャフトは現在でも100mmなので中空シャフトは随時購入できますが、リヤは現在130mmと135mmなので、120mmや126mmは入手困難な状態です。現在126mmのリヤハブを販売しているのはDIA-COMPEブランドのENE CICLOがありますが、数が出ていませんので中空シャフトのみ注文できるかどうかは不透明です。130mmを切断する事も出来ますが、どの中空シャフトもネジ切りは途中までしかなく、フリー側コーンはかなり内側に寄っていますので、場合によっては入らないかもしれません。デュラエースにおけるO.L.D.120(131mm)、126(137mm)のネジ長とコーン位置を示します。左側ネジは35mm程度、右側は44mm前後で同程度です。なお、シマノレギュラーハブO.L.D.124(135mm)は左29mm、右51mmと左右差が大きくついていました(左下)。コーンの位置は右のようになります。126mmを6mm切断して120mmにするとして、右側を6mm切るとぎりぎり行けそうです。ただ、クロモリの中空シャフトを切断するのは時間かかりそうですね。

 

海外の製品

 国産では中空シャフトはミリネジと言い切ってしまいましたが(笑)、中華製ではインチネジの中空シャフトが存在するようです。さすがに単体では見かけませんが、安い完成車に付いて入っているかもしれません。また、イタリアやフランスでは当然の如く規格は違うようです。参考として、イタリアとフランスの規格を載せておきます。

イタリア規格 ソリッド(F:8×26TPI、R:9.5×26TPI)
        中空 (F:9×26TPI、R:9.5×26TPI)

カンパ     中空 (F:9×26TPI、R:10×26TPI)

フランス規格 ソリッド(F:8×1.0mm(or 26TPI)、R:9.5×1.0mm(or 26TPI)
        中空 (F:9×1.0mm(or 26TPI)、R:9.5×1.0mm(or 26TPI)

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