ボトムブラケット(BB)

BBワン

 BBワンはISO-JISとイタリアンの2種類があり、ネジ径や方向が異なっていますが、国産マスプロ社はほとんどがJIS仕様だったようです。SAKAE、SUGINOは昔からツバ間寸法(リテーナ間の幅)は同じで左右ワンは共通で使えましたが、シマノだけはツバ間寸法が広く、ワンはSUGINOに比べて薄い物でした。ところが600EXになってからSUGINOと同じ幅になったようです。

左よりSUGINO、シマノ(新)、シマノ(旧)。シマノ(旧)のみ、ワンの厚みが薄いのが判る(右)。

 

SUGINO

 オーソドックスなBBワンでマスプロ車を始めとして広く使われていました。4種類のグレードがあり、スチール製のスタンダード(左)、Ni-Cr製のワンに鉄のロックリングが付いているデラックス(中)、ロックリングが軽合金のスーパーデラックス、ワンもロックリングも軽合金になっている軽合金(右)がありました。軽合金の玉はリテーナではなくてバラ球で、防水リングは無いもののシャフト貫通部にネジ切りがしてありました。

 

サカエ

 サカエからもBBセットが出ていました。これはスーパーアペックスに付いてきたワンですが、SUGINOのスタンダードと同じです。OEM製品でしょうかね。

シマノ

 初代600の頃はツバ間寸法が他社より広くてワン自体は薄い特殊な物でした。600EXの頃からSUGINOなどと同じツバ間寸法になり、防水リングも付くようになりました。その後、シールドBBに移行する直前にツバ間寸法が少しだけ狭い74デュラが出ています。

 

ブリヂストン

 70年代、BB幅70mmのBSマスプロ車に付いていた独特の2穴ワンです。BB幅68mmになってからはBS車もSUGINOを使っていたようですが、グランテックミニは68mmにもかかわらずこれと同じワンが入っていました。

 

ボール(リテーナー)

 球は後ハブと同じ1/4インチで、国産では全メーカー共通です。80年頃より球を枠でつなげたリテーナーに移行していきましたが、サイズは同じ1/4なのでリテーナーの代わりに同じサイズのバラ球を使用することも出来ます。置き換えの数は1球程度の隙間を空けるのが適正数だそうです(右)。

 

 汎用タイプは広いツバがついたほうが内側でBBシャフトと接するのですが、シマノのリテーナーにはツバが外側ではなくて内側に付いた物があり、ツバの付いたほうが外側(ワン側)でツバの無いほうが内側になります。

 

フィキシングボルト

 BBシャフトにはボルト式とナット式があります。どちらも締めかたは同じですが、ボルト式は上級グレードに使用されているようです。ボルト式はワッシャつきのボルトを締めこむのですが、ナット式は裏に緩み止めのセレートが付いたナットで締めこみます。このセレートはクランクの接合面に波状の傷をつけますので(右)、上級グレードには採用されていないのでしょう。ナットのスパナ径は14mmですがボルトは14mmと15mmの2種類あります。

 

ワンキーリリース

 コッタレス抜き工具を使用せずに、6mmの6角レンチ1本でクランクの着脱ができるボルトです。フィキシングボルトの外側にコッタレス抜きの本体を配置したようなデザインで、国産ではシマノが最初だったと思います。その後SUGINOやTAなど各社から似たようなデザインで出ていましたが、最近では6角レンチが8mmになって多少変わっているようです。構造はコッタレス抜きと同じで、ボルトを引き出すと、ボルトのツバが外套(赤色の筒)に当たってクランクをBBシャフトから引きぬきます。付ける時には、そのままボルトを締めればOKです。当然ですが、ボルト式BBシャフト用で、ナット式には使用できません。

 

 着脱、増し締めを6角レンチ1本で出来て便利なのですが、最初の装着時には専用のPinスパナ(TL-FC20)が必要になります(左)。当時は携帯に便利で専用の6角レンチ(TL-WR40)も出ていました。今でこそホームセンターに行けば各種6角レンチが買えますが、当時はまだ一般的ではなく、レンチにすっきり収まる延長棒もついて重宝した物です。ワンキーリリースも販売当初は「緩みやすいので、通常のボルトで締め付けてから一旦ボルトを外し、その後に本体を装着してください」と言われていたらしいですが、私は旧600のクランクに使用していて困った事はありませんでした(右)。ただ、着脱後は1週間間隔で4回程度増し締めしますが、2回目くらいまでは締めこむようになります。3回目以降は締めこまなくなるので、緩みやすいとは思いませんでした。

 

ウオーターシース

 シートチューブの一番下に当たるBBには水が入りやすく、雨天走行が多いとサビの発生しやすい部分です。シールドBBでは問題ありませんが、カップ&コーンでは水やサビにさらされますので、カバー目的で蛇腹の付いたビニール製の円筒形カバーが各社から出ていました(中)。長さは53mm程度で先端はBBワンの端に嵌るようになっています(右)。雨天走行が多い方や、BB整備をあまり行わない方にはよいのでしょうが、マスプロ量販車に採用されているのは見た事ありませんでした。透明なものと黒いものがあり、場合によってはBB内にはまり込んでいることがありますので、引っ張って取ってあげてください。シールドBBに移行してほとんど見かけなくなりましたが、まだSUGINOから\600程度で販売されているようです。

 

クランクキャップ

 コッタードクランクからコッタレスクランクに変わった頃から登場しています。最初は金属製でしたが次第にプラスティック製となり、最近ではアルミなども出ているようです。クランクボルトとネジの保護が目的ですが、多分に美的要素もあるようで各社から出ていました。初期の頃は着脱用の大きなスリットが開いていたので、防水効果どころか水を溜め込むような形になりましたが、ネジ部の保護には役立ったようです。その後、貫通しないスリットで防水効果はあるものの、着脱が非常に難しい物、貫通しない小さなPin穴で着脱する物、ネジではなくて嵌め込みの簡易型なども出ています。最近ではキャップレスのボルトなども登場し、製品自体も減っているようですが、SUGINOなどからまだ販売されています。

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