玉押しの互換

600/105/Regular

 600が出る前の70年代前半は、ジュラエースとレギュラーの2種類ハブが出ていました。レギュラーハブはO.L.D.F:96mm、R:124mmの軽合金製ラージフランジで、クイックレリーズのH-710/H-810、ウイングナットのH-720/H-820が出ています。初期のクイックナットは円錐型で後期とは違った形をしていました(右)。
 なお、以後の話は資料が不十分なため的外れな部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

 70年代後半に入るとツーリング用コンポとして中級グレードの「600」が作られました。600のハブもラージフランジとスモールフランジが用意され(HB-100(Large)/HB-200(Small))、O.L.Dもデュラと同じくF:100mm、R:120mm(5)/126mm(6)になりました。本体はレギュラーと同じ物のように見えますが、パーツ構成から考察すると球押しの位置が少しずつ違っているようで、リヤスペーサはデュラと同じものを使用しています。レギュラーハブとしてはHC-110(Large)/HC-210(Small)が出ていますが、構成はH-710/H-810と同じで後継機のようです。

 

 デュラにEXシリーズが出ると同時に600にもフリーハブのEXシリーズが出ましたが、初期はリヤハブ(HF-310〜360)のみで、フロントは旧600の流用だったと思います。従来の600もHB-6120/6110と改番しましたが、同じ品物のようです。80年に入ってエアロの63系600AX(FH-6361)が出ると共に62系も新設計のNew600EX(HB-6207)が出て、コーンやナットなどが一新されました。

 

フロント

H-710、HC-110、HC-210

 H-741のハブ軸構成です。A-LockNut(#210 0820 3.0mm)、B-KeyWasher(#231 1500 1.5mm)、C-Cone(#231 0400 M9×10.4mm)、D-Axle(#231 0300 M9×104mm)で、O.L.D96mmのクイックハブ用構成です。

  

 70年代初期に登場しましたが、ConeやWasherは90年代まで変わることなく使いつづけられました。LockNutとAxleはO.L.D変更に伴ってサイズと品番が変わっていますが、基本的には同系列のものでした。この頃のコーンはレギュラーといえども研磨されているのには、物作りの良心を感じます。

 

HB-F105

 600の下位グレードとして出てきた「105」シリーズで、F105はシリーズ最初のハブです。HB-6207と同時期に出ているのですが、設計はHC-110の旧式を踏襲しています。O.L.Dは96mmに加えて100mmが出ており、O.L.D96mmの軸構成はHC-110と同じですが、O.L.D100mmではE-LockNut(#210 0821 3.5mm)、F-Axle(#233 1800 M9×108mm)が変更されています。100mm化で4mm長くなっているのですが、1.5mmのKeyWasher2枚追加とLockNutを0.5mmのばして3.5mmとすることで4mm長くしています。後継機のHB-1050にも96mm製品あるようで、O.L.D.96mm規格は最近まで使われていたのですね。

 

HB-100、HB-200、HB-6100、HB-6120

 中級グレードとして出てきた600の初代です。登場よりO.L.D100mmのみの構成で、B-KeyWasherとC-Coneはレギュラーと同じですが、F-LockNut(#231 2302)とG-Axle(#233 1800 M9×108mm)は100mm化に伴い変更されています。

 

 100mm化に伴ってHB-F105はロックナットを3.0mmから3.5mmに厚くし、1.5mmのKeiWasher2枚挿しで4.0mm増やしていますが、HB-100はパーツリストから見ると上記の様にKeiWasher1枚のみなので、ロックナットで調整している物と思っていました。ところが、パーツリストではF-LockNut(#231 2302)は「Old Part No 210 0821」となっていて3.5mmのような書き方です。しかし本体を見ると5.0mmの分厚いロックナットが嵌っていますし、当時のカタログで「600」と記載されているハブに薄めのロックナットとワッシャが2枚刺さっているものがあったりしますので、LockNut(#231 2302)は5.0mmではないかと推測しました。まあ、今から30年以上前の話ですので、訳知りの人はもう居ないのでしょうね。

 

HB-6207-F

 New600EXとして登場したハブで、軸構成はB-KeyWasherとG-Axleは同じですが、J-LockNut(#210 0820-1 3.0mm)、H-Cone&SealRing(#3-215 9822 M9×10.4mm)、I-SealRIng(#236 0300)に変更されています。O.L.D100mmで設計されたようで、ロックナットは3.0mmの薄い物へと戻り、コーンもシールリング付きに変更されました。ただ、コーンの長さは10.4mmで旧型と同じなため、旧型と共用が可能かもしれません。

 以下にまとめました。 

 ワッシャやハブ軸はシリーズ全般で共通しており、ロックナットも3.0mmの#210 0820(-1)と、3.5mm#210 0821の2種類で遣り繰りしていたようです。コーンはF105まで共通なものの、シールリングが登場してからは個別化が進んでいきました。その後600はHB-6400へ、F105はHB-1050へと進んでいます。なお、HB-6400もHB-1050もコーンはシールリング付きです。

 

リヤ

H-810、HC-110、HC-210

 H-810のハブ軸構成です。A-LockNut(#220 0501 4.5mm)、B-KeyWasher(#241 0700-1 1.5mm)、C-L)Cone(#220-0820-2 M10×15mm)、D-Axle(#241 0300-1 M10×136mm)、E-R)Cone(#220 0800-2 M10×13mm)、F-LockNut(#220 0400-1)、G-Spacer(#241 0800 12mm)で、O.L.D124mmのクイックハブ用構成です。

 

 フロントと同じく70年代初期に登場しました。初期のハブはナット止めをクイック化したためか、O.L.Dは前96mm、後124mmの旧規格で、124mmあっても後ろは5段変速でした。600シリーズの新設やO.L.D変更などによって品番は変わっていますが、基本的には同系列のようで代用は効きそうです。ただし、リヤはフリーハブの登場とボスハブの消滅により代替部品調達も難しくなりました。

 

HB-R105

 フロントは旧型と同じ構成でしたが、126mm化に伴って構成が多少変更されています。左のダストキャップが新設計になって、左ロックナットがH-LockNut(#220 0502 3.5mm)と1mm薄くなりました。また、右コーンは左と共通になって15mmとなったのに伴い、長さ調整のためのJ-KeyWasher(#243 1600 1.2mm)が追加されています。全長は旧型に比べると2.2mm延長されましたがO.L.Dも2.0mm延びて126mmとなり、軸もI-Axle(#243 2001 M10×137mm)に変更されています。長らく続いたボスフリーハブですが、次のHB-1050-Rが最後になったようですね。

 

HB-100、HB-200、HB-6110、HB-6120

 デュラエースと同じくO.L.Dが5段用の120mmと6段用の126mmの2種類を出したため、スペーサーとハブ軸も2種類になっています。変更箇所は、K-Axle(#243 2000 M10×131mm)、I-Axle(#243 2001 M10×137mm)とL-Spacer(#243 1900 4.5mm)、M-Spacer(#243 1901 10.5mm)でデュラエースと同じ物が使用されています。

 

 シャフト構成はレギュラーとほぼ同じですが、O.L.D.120mmでは1.5mm縮めたスペーサーMを使用し、1.0mm薄くした左右ロックナットHと合わせて全部で3.5mm短くしています。計算上では120.5mmとなるのですが、誤差の範囲でしょうか?。逆にO.L.D.126mmではLとMのスペーサー2枚挿しで3.0mm長くなるのでO.L.Dは計算上127mmとなります。まあ、1.0mm程度も誤差範囲なのでしょうね(笑)。

 

HB-6207-R

 600も「600EX]になってデュラエースと同じくフリーハブが出てきたため、この次のHB-6208が600における最後のボスフリーハブになりました。左右のロックナットは105と同じく左が3.5mmになりましたが、品番も変わって左N-LockNut(#220 0502-1 3.5mm)、右R-LockNut(#220 0501-1 4.5mm)となりました。コーンも長さは同じですがシールリングが付いて、左P-Cone&SealRing(#3-226 9832 M10×15mm)、右Q-Cone&SealRing(#3-226 9831 M10×13mm)、O-SealRIng(#299 0500)に変わっています。あとスペーサーはHB-6110と同じくデュラエースのものを2枚挿ししていますが、左のロックリングが1.0mm短くなったので計算上でもO.L.D.126mmになりました。

下記にまとめました

HB-R105のみ、KeyWasher(#243 1400 1.2mm)あり


次の項では普及グレードにおけるコーンの互換性についてみてみます。

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